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労働災害事例

病院内でLPガスが漏れ爆発事故

病院内でLPガスが漏れ爆発事故
業種 製造業
事業場規模 300〜999人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 可燃性のガス
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:− 休業者数:3人
不休者数:2人 行方不明者数:−
発生要因(物) 老朽、疲労、使用限界
発生要因(人) その他の心理的原因
発生要因(管理) その他

No.100393

発生状況

 この災害は、整形外科病院の半地下薬剤倉庫において爆発が起こり、薬剤課職員6名が被災したものである。
 この病院は前年に新館が増築されたが、外来薬局は旧館1階にあり、調剤室と薬剤倉庫からなっている。
 調剤室は、外来受付カウンターと薬事室に仕切られ、薬剤倉庫は1階と半地下部分とからなり、1階の片隅には地下へ通ずる階段が設けられていた。なお、旧館地下にあった食堂は新館に移動したが、LPガスの配管はそのまま残されていた。
 災害発生当日、午前8時30分から外来薬局において、薬剤課長A以下7名の薬剤師は勤務体制に就いた。
 午前10時40分頃、薬剤課長Aは半地下倉庫へ薬剤を取りに行き、階段を降りた所で、一服しようとしてライターに火を着けたところ、爆発が起こり、ライターの火は突然に大きな火炎となって吹き上げた。         
 Aは、床に押し倒され、爆風と火炎は半地下倉庫から外来受付カウンターの方向へ走り、調剤室で作業中の薬剤師6名中の4名が負傷した。
この病院は喫煙場所が決められてないので、職員は通常、半地下倉庫で喫煙していた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる
1 ガス配管から洩れたLPガスが地下倉庫へ侵入し、滞留したこと
 半地下倉庫には、給水管等を受け入れる壁穴があり、壁穴と両配管とは密着していないため、隙間があったこと。
2 新館を増築し、旧館地下にあった食堂を新館に移動したときに、ガス配管を撤去しなかったこと
 半地下倉庫の近くに、現在は使用が禁止されている鉄製のLPガス配管が地表から約30p〜50pの所に敷設されており、壁穴から約7mの ところにあるガス配管には、腐食して直径5oの穴が開いていた。
3 地下倉庫内には、家庭用の小型換気扇が設置されていたが、有効な排気口が設けられていなかったこと
4 病院に喫煙場所が決められていないため、喫煙する職員は半地下倉庫で喫煙していたこと
5 薬局関係者は、2か月前から地下倉庫内で玉葱が腐ったような匂に気づいていたにもかかわらず、原因調査を行っていないこと

対策

 同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 給水管等のための地下倉庫の壁穴を密封するとともに、半地下倉庫には、適切な給排気口を備えた換気設備を設けること
2 LPガス用配管は、腐食しにくい材質のものを使用するとともに、不用の配管は撤去すること
 鉄製のガス配管を使用している場合には、特に注意する必要がある。
3 半地下倉庫など空気より比重の重い可燃性ガスが滞留するおそれのある場所については、可燃性ガス警報装置を設置すること 
 可燃性ガス警報装置を設けた場合には、警報装置の作動に伴う作業規程を設けることも大切である。
4 病院内は、原則禁煙であるが、外来患者に対する喫煙対策と同様に、職員についても喫煙対策を講じること
 ライター等火気の使用に関しては、使用基準を作成する必要がある。
5 安全衛生管理体制の整備充実を図り、必要な安全衛生教育を行うこと
 病院内の危険な個所、危険な作業を総点検し、安全管理を徹底する必要がある。