コークス炉ガス精製塔の清掃作業中に爆発
業種 | その他の清掃・と畜業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | コミュニケーションなど | |||||
発生要因(管理) | 危険物が入っているものの |
No.100390
発生状況
この災害は、コークス炉ガス精製処理用循環液再生塔の清掃作業中、漏洩したコークス炉ガスが爆発し、作業者4名が死傷したものである。作業は、Y社のコークス炉ガス精製処理用循環液再生塔の清掃作業を請け負ったZ社が下請ZA社の作業者を使って再生塔内のスラッジの搬出を行うものである。災害発生2日前までに再生塔内の自然換気、循環液の抜き取りを完了し、スラッジの搬出を始めた。
災害発生当日、午前8時にZ社の現場責任者から作業内容の指示を受けたZA社の作業者5名とバキュームカー2台が現場に到着し作業を開始した。まず、再生塔内部の酸素濃度測定を行った後、前日使用して再生塔内部に置かれていた脚立に取り付けた投光器を点灯し、出入口マンホール付近のスラッジからバキュームカーで吸引して搬出を行った。
スラッジの位置が塔の奥になると、投光器も移動する必要が生じたが、コードが短かったので、延長用ドラム付きコードを出入口附近の仮設ステップ上に置き、投光器コードのプラグを延長コードのコンセントに差込んだ。
投光器は一旦点灯したが、暫くすると消え、その直後に再生塔内で爆発が起こった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 吸収塔は、常時、水柱圧約900mm のコークス炉ガスが保持された状態であったこと
2 吸収塔内の水柱圧約900mmのコークス炉ガスが主配管等を通じて大気圧状態の再生塔へ流入したこと
電動バルブの閉止が不十分であったため、事故発生までの2週間の間に循環液が漏出し、水封が切れて吸収塔内のコークス炉ガスが主配管等を通じて大気圧状態の再生塔へ流入した。
3 作業開始前に、再生塔内の酸素濃度の測定は行っていたが、可燃性ガスの測定については実施していなかったこと
4 清掃作業者は、再生塔内においてエアラインマスク着用を前提としていたため、再生塔内の換気が実施されていなかったこと
5 爆発危険のおそれのある場所で使用された電気機械器具が防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなかったこと
6 発注者の統括安全管理体制が十分に整備されていなかったこと
下請事業場の現場巡視、作業指導、安全教育が不十分であった。
対策
この災害は、コークス炉ガス精製用循環液再生塔の清掃作業中に発生した爆発により作業者が死傷したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 化学設備の内部で修理、清掃等の作業を行うときは、以下の点に留意すること | |
(1) | 作業の方法および順序を決定し、あらかじめ、関係する作業者に周知すること | |
(2) | 作業指揮者を定めて、作業を指揮させること | |
(3) | 作業箇所に危険物、有害物等が流入または漏洩しないように、バルブ若しくはコックを二重に閉止し、またはバルブ若しくはコックを閉止するとともに閉止板等を施すこと | |
2 | 化学設備の内部の作業箇所およびその周辺における引火性の物の蒸気、可燃性ガスまたは有害物の濃度を随時測定すること | |
3 | 化学設備内部で使用する電気機械器具は、防爆構造電気機械器具とすること | |
4 | 発注者は下請事業場を含む安全管理体制を整備し、安全管理を徹底すること | |
5 | 発注者は下請事業場の作業者の安全教育が徹底するように指導援助すること |