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労働災害事例

治水ダム水路上に架けた仮設通路が倒壊し、作業者3名が転落

治水ダム水路上に架けた仮設通路が倒壊し、作業者3名が転落
業種 砂防工事業
事業場規模 5~15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 通路
災害の種類(事故の型) 墜落、転落
建設業のみ 工事の種類 砂防工事
災害の種類 架設通路から墜落
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:3人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 機械装置を不安定な状態にして放置する

No.100303

発生状況

 この災害は、治山ダム建設工事において、水路のコンクリートならし作業を行うため、架設通路上で待機中の作業者が架設通路の倒壊によって転落したものである。
 災害発生当日の作業は、午前10時頃から水路の水たたきの床部にコンクリートを打設するものであった。現場代理人Aは、その日初めて現場に手伝いに来ていた作業者BとCに対し、段取りの準備のため、副堤の水とおし上の架設通路で待機するよう指示した。
 作業者BとCは、架設通路の手すりに横にして立てかけてあったはしごに腰掛けて、手すりによりかかる状態で、作業指示があるまで待機していた。
 一方、現場代理人Aからコンクリートポンプ車の到着を確認するよう指示をうけた作業者Dはコンクリートポンプ車の到着していることを確認し、現場代理人Aに報告するために副堤を通って水とおし上の架設通路に乗った途端、この架設通路が、3人の作業者を乗せたまま4.43メートル下の川の下流方向に転落した。先に転落した3人の作業者の上に架設通路が落下してきて、3人とも架設通路の下敷きとなった。現場代理人Aは架設通路を持ち上げて救出し、病院に運んだ。

原因

 この原因としては、次のようなことが考えられる。
1.副堤に固定されていない状態の架設通路を作業者に使用させたこと
 架設通路は、作業者が治山ダムの左岸と右岸の両側陸間を移動する目的で災害発生4日前に設置されていた。始めは、水路の側面の縦方向と横方向に鋼管を取り付け、架設通路と副堤は固定されていたが、2日前に、側壁のコンクリート打設が終了し、前日になって、両側壁間の足場と側壁の型枠が解体されたとき、架設通路を固定していた縦方向の鋼管が取り外されたので、架設通路が副堤に固定されないで架けただけの不安定な状態となっていた。
2.架設通路の幅が狭かったので、通行者のために通路上にいた2人の作業者が架設通路の手すり側に寄りすぎたこと
 架設通路の幅が42cmと狭かったので、通行する作業者のために通路を開けようとして、川の下流方向に体重をかけすぎた。
3.安全管理が不十分なこと
 現場代理人Aは、架設通路が不安定な状態を現認していながら、その事情を知らない3人の作業者を架設通路上で待機させた。

対策

 この災害は、架設通路の転落によるものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1.架設通路を設置する場合は、事前に組立図を作成し、その設置時期、設置方法、構造等を十分検討したうえで、計画的に組立て、設置すること
2.架設通路は、堅固なコンクリート構造物(副堤部)に単管等で確実に固定すること  周辺の工事の施工の進捗にあわせて、解体、変更等を行う必要のない固定方式を採用する必要がある。(図参照)
3.工事の施工の都合上、やむを得ず架設通路を固定している単管等を取り外した場合は、必ず、元のとおり復旧させること
 なお、復旧が完了するまでの間は、架設通路に作業者を立ち入らせないこと
4.工事の施工にあたっては、作業者の作業時の安全の確保を図るため、現場代理人は、使用する架設通路、はしご等の安全の状態を必ず点検し、その結果を記録するとともに、関係作業者にその旨周知しておくこと
5.元請工事責任者および下請工事責任者は、定期的に現場安全パトロールを実施し、安全管理状況を把握し適切な指導を行うこと