消火設備が誤作動し、放出された炭酸ガスを吸引
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 老朽、疲労、使用限界 | |||||
発生要因(人) | 場面行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100301
発生状況
この災害は、炭酸ガス消火設備の誤作動により放出された炭酸ガスを吸入した5名の労働者が被災したものである。災害の発生した工場では、使用済みのドラム缶を回収して、再利用するための洗浄、補修および外側の塗装などを行っており、塗装ブース内で用いる有機溶剤が引火性であることから炭酸ガス消火設備を設置している。
災害発生当日、通常どおり、午前8時30分から作業が開始された。この日は、前日に搬入されたドラム缶の洗浄作業の準備に3名、出荷前のドラム缶の気密テストと最終検査の作業に2名の労働者が工場内で作業に就いた。
それぞれの労働者が、洗浄設備および検査場の作業場所で作業を開始してから約40分経過したときに、警報ベルが鳴りだし、続いて、4箇所ある炭酸ガス放出口から炭酸ガスが放出され、工場内で作業していた5名の労働者が炭酸ガスを吸入した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 消火設備の制御系統に使用していたビニールコードの絶縁被覆の一部が経年劣化による亀裂が生じて短絡したため、電気信号が制御回路に流れ、消火設備が誤作動したこと。
2 消火設備の点検整備が、9年間実施されていなかったため、配線の絶縁劣化に気付かなかったこと。
3 消火設備など機械設備の点検基準が作成されず、点検担当者の指名がされていないなど安全衛生管理体制が十分でなかったこと。
4 火災発生時などの異常事態が発生したときの退避経路などについて、マニュアルが整備されていなかったこと。
5 異常時の対処方法など安全衛生教育が実施されていなかったこと。
対策
この災害は、消火設備の誤作動により二酸化炭素ガスが放出したことから発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 消火設備を含めて機械設備についての点検整備基準を作成し、点検整備担当者を指名して、日常の作業開始前および定期的に点検整備を実施すること。
2 機械設備についての取扱い要領を作成し、その内容を関係作業員に周知すること。
3 火災など異常事態発生時における避難経路など作業員の安全を確保するための誘導などについてマニュアル化し、定期的に実地訓練を行うことが望まれる。
4 雇い入れ時には、機械設備、原材料などの危険性または有害性およびこれらの取扱い方法、事故時などにおける応急措置および退避に関することなどについて安全教育を実施すること。
5 現場監督者には、作業手順の定め方、作業方法の改善、労働者の適正な配置に関すること、異常時における措置、災害発生時における措置などについて安全教育を実施すること。
6 安全衛生推進者を選任し、日常の安全管理業務を行わせること。