断熱のための硬質ウレタンフォーム吹き付け作業中、発生したフロンガス等により酸素欠乏症で死亡
業種 | 建築設備工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の危険物、有害物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 木造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100298
発生状況
この災害は、木造2階建新築工事において、硬質ウレタンフォームの吹き付けによる断熱工事中に発生するフロンガス等を吸引して被災者2名が酸素欠乏症となったものである。元請けX社は、木造2階建建物の1階床下部分の断熱工事をY社に下請させた。作業はY社の作業員AとBが行った。
午前9時30分頃から、AとBはY社のトラックにウレタン発泡設備を据え、ホースを現場まで延ばし、ウレタンフォーム吹き付け作業を行った。
被災者Aがミキシングガンでウレタンフォームを吹き付け、被災者Bが吹き付け場所の外で段取りや作業補助を行った。この作業では換気装置及び空気呼吸器は使用しなかった。
午前中は通常通り作業を行い、昼食休憩1時間をはさみ午後1時から作業を再開した。吹き付け予定部分のほぼ3分の2に達した頃、放出されたフロンおよび代替フロンのため吹き付け作業をしていた被災者Aが倒れ、救助のため床下に入った被災者Bも倒れ、2名とも酸素欠乏症で死亡した。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 作業場所に発泡用のフロンおよび代替フロンが充満したこと。
硬質ウレタンフォームの吹き付けに用いられたフロンおよび代替フロンの一部がウレタンに封入されず外部に発散し、作業場所に充満した。
2 作業場所を換気せず、また、呼吸用保護具を着用せず作業したこと。
被災者達は、現場にエアラインマスクを持参していたにもかかわらず、これを使用しないで作業を行ったこと。
3 作業計画が適切でなかったこと。
換気の方法やエアラインマスクの装着を考慮した作業計画が樹立されていなかった。
4 作業マニュアルが適切でなかったこと。
5 元方事業者の現場代理人が吹き付け作業について適切な安全指導をしなかったこと。
対策
この災害は、木造2階建新築工事において、硬質ウレタンフォームに吹き付けによる断熱工事中に、発生するフロンガス等を吸引して被災者2名が酸素欠乏症となったものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 換気装置を用いて作業場所の換気を行うこと。
2 作業者は空気呼吸器等の呼吸用保護具を着用して作業すること。
3 マニュアル類を整備し、慣れ等から来る不安全行動をしないように指導管理すること。
4 設計の段階で断熱材の吹き付けをするときの作業口を設けるよう設計する等について建築物設計段階で検討をすること。
5 成型した断熱材を張り付ける工法の採用等施工方法の改善を検討すること。
6 安全衛生管理体制を充実すること。
7 元請事業場における統括安全衛生管理を徹底すること。
8 安全衛生教育を適切に実施すること。