ホテルの汚泥沈殿槽の清掃作業中に硫化水素中毒
業種 | その他の清掃・と畜業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 場面行動 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100296
発生状況
この災害は、ホテルの地下汚泥沈澱槽内において清掃の準備作業に従事していた作業者2名が硫化水素を吸入して意識障害を起こし、また、その救出に当たった作業者1名も同様に硫化水素を吸入し中毒になったものである。当日は、沈澱槽内清掃の初日で、午前中は槽内の排水、堆積汚泥の攪拌等を行い、午後1時20分頃から槽内の作業環境測定が行われた。
その後、被災者Aはジェット洗浄による汚泥除去作業のため、被災者Bは清掃前の現況写真撮影を行うため、別々のマンホ−ルからほぼ同時に槽内に入った。
その直後に、汚泥が多量に堆積した箇所に降り立ったBが意識を喪失した。
AはBを救出しようとしたが、自分も気分が悪くなったためマンホール外に居る作業員に救助を求めた。
Aから救助を求められた現場責任者Cは、A、Bを救出するためマンホール内に入ったが自分も気分が悪くなり倒れた。
その後、3名は、他の作業員等に救助されホテルの医務室に運ばれ、救急処置が施された結果いずれも回復した。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 汚泥沈殿槽内に硫化水素ガスが滞留していたこと
2 作業環境の測定方法が不適切であったこと
3 汚泥沈殿槽内の換気を十分に行わなかったこと
4 作業主任者の職務を十分に行っていなかったこと
5 救助作業時に空気呼吸器等を使用させていなかったこと
対策
この災害は、ホテルの地下汚泥沈澱槽内において清掃の準備作業に従事していた2名が硫化水素を吸入して意識障害を起こし、また、その救出に当たった1名も同様に硫化水素を吸入し中毒になったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業開始前に沈澱槽内の沈澱物の状況等を確認するとともに、作業場所の硫化水素濃度等を適正に測定し、作業計画を定めること
2 作業中は作業場所の換気を継続して行うこと
3 作業主任者を配置してその職務を的確に行わせること
4 作業員に対して安全衛生教育を徹底すること
5 安全衛生管理体制を整備し、安全衛生活動を実施すること