製鉄所の脱硫装置の吸着搭の清掃中に一酸化炭素中毒
業種 | 製鉄・製鋼・圧延業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100288
発生状況
この災害は、製鉄所製銑工場の焼結機に付属する脱硫装置の吸着塔内の清掃作業中に発生したものである。災害発生当日、午前8 時30分から清掃作業を開始し、午前中には吸着塔の3 段になっている槽のうち上段部分の清掃を終了した。
午後は槽の中段の清掃に着手し、午後3 時30分頃に終了したので、続いて午後3時40分頃より槽下段の清掃作業に着手したが、ほぼ同時刻に修理が終わった焼結機が稼動した。
下段の清掃は、被災者と同僚2 名が内マンホールの外側で、4 名が内マンホールの中でバキュームホースを使用して吸引作業を行っていたが、午後4 時34分頃、製鉄所の立会人が不快な刺激臭を感じたので、焼結機からの排ガスの流入を懸念し、マンホール内の亜硫酸ガス、酸素濃度、一酸化炭素濃度の測定をしたところ、酸素濃度が18.8% 、一酸化炭素濃度が130ppmであったので、マンホール内の作業員に「逃げろ」と指示した。
その後、立会人および作業に従事した6 名は、自家用車等で病院に行き診察を受け、立会人と被災者が入院を指示されたが、立会人は当日に帰宅し、被災者は一酸化炭素中毒で一週間の入院となった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 吸着塔の清掃を行う前に、吸着塔の入り口側のダクトには遮蔽板を取り付けていたが、出口側を閉止していなかったために一酸化炭素ガスを含む焼結機からの排ガスが逆流して吸着塔内に入り込んだこと
2 焼結機を稼動させた後に、煙突から排ガスが適正に排出されているか否かを確認しなかったこと
3 吸着塔の作業を行うに際し、作業方法の決定と関係作業者への周知、作業指揮者の指名、換気の実施等を行っていなかったこと
4 関係設備の修理作業全体の連絡調整を十分に行っていなかったこと
対策
この災害は、製鉄所製銑工場の焼結機に付属する脱硫装置の吸着塔内の清掃作業中に一酸化炭素中毒になったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業の開始前に作業方法・手順の決定と周知、有害ガスの逆流防止措置等について十分に検討したうえで作業を行うこと
2 関連設備で同時に作業を行っていて、稼動を再開するときには十分な連絡調整を行うこと
3 作業中は作業環境の測定を随時行い安全性を確認すること
4 作業者に、作業に伴う危険有害性についての教育を実施しておくこと
5 作業指揮系統の明確化など関係事業場の安全衛生管理体制を整備すること