遺跡の発掘現場の足場上で写真撮影中、突風で足場が倒壊

業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 16~29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 足場 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100280
発生状況
この災害は、遺跡の発掘調査現場の枠組み足場の上で遺跡の写真撮影中に突風のため足場が倒壊し、二人が地上に墜落したものである。災害発生当日、この現場では、午前中は全員で遺跡の清掃を行い、午後から遺跡の状況の写真撮影を行う予定となっていたが、午前11時45分頃、採用後間もない調査員Aが同人より早く採用されている調査員Bに「昼休みに写真を撮りたいからカメラの操作方法を教えてくれ」と依頼し、調査員Bから枠組み足場(2 スパン、5 層組み)上で約1時間カメラの操作方法の指導を受けた。
その後、調査員Bは足場を降りて昼食に向かい、代わりに調査補助員Cが足場に載って調査員Aとともに写真撮影を行っていたが、午後1 時30分頃突風が吹いたため枠組み足場が倒壊した。
そのため、足場上に居た二人が、約8.5 メートル下の地上に墜落し、調査補助員Cは背腰部皮下組織内出血等で約2 時間後に死亡し、調査員Aは腰椎、頸骨、右足骨折等で約90日の休業となった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 写真撮影用に設置された枠組み足場が、軟弱な地盤に不安定な状況で組み立てられていたこと。
2 足場の周囲が目の細かいメッシュシートで囲まれていたため、風圧の影響を大きく受けてしまったこと。
3 遺跡発掘現場の責任者である所長等が安全管理を行っていなかったこと。
4 調査員等に対する安全衛生教育が実施されていなかったこと。
対策
この災害は、遺跡の発掘調査現場の枠組み足場の上で遺跡の写真撮影中に突風のため足場が倒壊し、二人が地上に墜落したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 遺跡調査等で使用する足場については、設置場所の地盤等の状況、必要な高さ、積載荷重等について事前に検討し、計画図に基づいた堅固なものを組み立てること。
2 メッシュシート等は、作業内容、強風等地域の特徴的な気候条件等を考慮して適切なものを選定し、取り付けること。
3 遺跡調査の作業に従事する者について、あらかじめ安全衛生教育を実施すること。
4 遺跡発掘現場の所長等は、定期或いは随時に作業場所を巡視し、安全な作業に着いての指示を行う等安全衛生管理を行うこと。