道路の掘削工事現場内で、バックしてきた工事用トラックにひかれる
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | 交通事故(道路) | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | 工事現場内における自動車等乗物全般 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業環境の欠陥(部外の) | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.100268
発生状況
この災害は、道路の片側を閉鎖してヒューム管を埋設する工事現場に派遣された警備員が交通整理の作業中に、バックしてきた4トントラックにひかれたものである。災害の発生した日、二車線道路の片側を10メートルにわたって幅および深さ2メートルの溝を掘削する作業が行われていた。12時から休憩のため作業が中断され、一般作業員は全員休憩に入り、警備員は交替で休憩を取り、一人が交通整理を行っていた。
13時近くになって、住民から車を出したいとの申し出があり、その住民の車庫前に覆工板を敷くこととなった。現場責任者は、トラックの運転手に覆工板の運搬を指示し、作業員2名を伴って、申し出のあった住民の車庫前で打ち合わせを行っていた。
トラックを申し出のあった住民宅の隣家の前に敷かれた覆工板上に停車させたが、覆工板を降ろすには不都合な場所であったため、反対側の隣家前に移動することにした。そして、トラックをバックさせながら、いったん車道の反対車線に出ようとしたとき、交通整理をしていた被災者がバックしているトラックの後方に移動してきて後部車輪にひかれて死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 運転手は、トラックをバックさせる際に後方を確認したが、被災者が死角の位置にいたため被災者の姿を確認することができなかったこと。
2 現場内が狭隘であったため、バック運転を余儀なくされる状況であったこと。
3 現場内を誘導者なしでバックしたこと。
4 突発的な作業に対する事前の作業手順の検討が不十分であったこと。
5 元請として、下請に対する連絡および調整が不十分であったため、他の下請に属する作業員の仕事の内容が警備員を含めて関係作業員に周知されておらず、統括安全衛生管理が不十分であったこと。
6 現場責任者に対する作業計画の立て方、下請業者への指示の仕方、作業現場での監督指導の方法などについての安全教育が不十分であったこと。
7 現場内でのトラックの運転についての安全確保のための、誘導者の役割、運転者の安全確認の方法などについての下請作業員に対する安全教育が不十分であったこと。
対策
この災害は、工事現場に派遣された警備員が交通整理の作業中、バックしてきた工事用トラックにひかれたものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 予定されていない突発的な仕事であっても、現場の状況に応じた作業方法を事前に検討すること。
2 現場内でのトラックの移動を伴う作業は、作業手順に従って作業が進められるように、作業指揮者を指名すること。
3 現場内でのトラックの移動には、誘導者を配置し、その者にトラックの誘導を行わせること。
4 現場内でのトラックの移動および荷の積み卸しに際しては、一定の合図を定め、誘導者にその合図を行わせること。
5 元方事業者は、下請事業者が行う作業の連絡および調整を行うこと、店社安全衛生管理者を選任し、作業現場の巡視などにより統括安全衛生管理の指導援助を行うこと。
6 元請事業者は新規入場者教育を実施し、統括安全衛生管理を徹底すること。
7 現場責任者などに対して、現場における統括安全衛生管理の進め方などについて教育を実施すること。