地下鉄建設工事においてガス溶接装置を用いてシールドマシンを溶断解体作業中、残留していた油に着火し火災発生
業種 | 地下鉄建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の建設機械等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 地下鉄建設工事 | ||||
災害の種類 | 事務所・宿舎等の火災 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 遮蔽なし、不十分 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他の不安全な行動 |
No.100215
発生状況
この災害は、地下鉄建設工事において、シールドマシンの解体作業中、使用したガス溶接装置の火花や破片が、油圧用の油、ゴムホース等に着火し、火災となったものである。火災発生当日は、掘削土砂の処理や裏込注入機械等を乗せるのに使用した後続台車の解体作業とシールドマシンの解体作業が並行して行われており、台車の解体作業は一次下請のA社(作業者6名),シールドマシンの解体作業は一次下請B社の二次下請C社(作業者6名)が行っていた。
当日午前中の作業が終了し、A社及びC社の作業者は11時40分頃昼休みのため徒歩で坑外に出た。その後12時50分頃、現場事務所に対して、付近の住民から「工事現場のマンホールから煙が出ている」との電話があり、職員も煙の出ていることを確認して、12時56分に消防署に通報した。13時05分に消防車が現場に到着し、放水を開始、18時24分に鎮火が確認された。
出火時は昼休み中であったため、出火場所に作業者はおらず、被災者はなかった
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 火災防止の措置が不十分であったこと。
ガス溶断作業を行うに際して、(1)可燃性物を除去すること、(2)不燃性のものによる覆いを用いること、(3)火花の飛散を防止するための隔壁を設けること等の火災発生を防止するための措置が十分でなかった。
2 火気使用場所において残火の始末が行われなかったこと。
当日午前中の作業を終了するにあたって、火気使用場所での残火の始末等の火気点検を行わないまま作業員が現場を離れてしまった。
3 坑内の照明が十分でなかったこと
シールドマシン周辺は狭あいな箇所が多く、特にシールド内部は影となって見通しも悪いことから、着火や残火を確認することが困難な状況にあった。
対策
この災害は、地下鉄建設工事においてシールドマシンの解体作業中に、溶断火花が、油圧用の油、シールドマシン軸受け潤滑部のグリース、ゴムホース等に着火し、火災となったものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 火気管理規程を作成し周知徹底すること。
可燃性物の除去、不燃性の覆いの使用、火花飛散防止の隔壁の設置、残火始末等火災防止に必要な措置について定める。
2 火気使用作業における作業手順を作成し順守すること
3 消火設備を設置すること
4 安全教育を徹底すること
管理者、作業者に対して安全衛生教育を実施し、溶断作業等の火気使用作業における火気管理および作業手順の周知徹底を図る。
5 救護技術管理者を配置すること
労働安全衛生法においては、トンネル工事を行う場合には、火災等が発生した時に備えて、救護技術管理者の選任、救護のための機器の設置、救護訓練の実施等の措置が規定されている。