眼鏡の「つる」にシリコーンチューブを挿入する作業で有機溶剤中毒
業種 | 光学機械・レンズ製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100213
発生状況
この災害は、眼鏡の弦(つる)部分の耳当てにシリコンチューブを挿入する作業に従事していた作業者が有機溶剤中毒となったものである。被災者が従事していたチューブ挿入の作業の手順は、次のようになっていた。
1 弦の耳当て部分に挿入するチューブをシクロヘキサンとノルマルヘキサンの混合溶剤に浸す。
2 溶剤で膨潤したチューブを素手で引き上げ、仮置をする。
3 弦の金属部分に、接着用のシリコンを塗布する。
4 チューブを弦の金属部分に挿入する。
5 チューブの皺(しわ)を延ばす。
6 自然乾燥で圧着させて完成・納品する。
被災者は、この手順での作業に10年程前から従事していたが、1ヵ月程前にフロン系から現在の溶剤に変更して間もなく身体がだるくなり、食欲不振等の自覚症状のほか顔面、頸部等に紅斑が出てきたため病院に行ったころ、有機溶剤による中毒と診断された。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 作業箇所に局所排気装置等を設置しておらず、また、防毒マスクを使用させていなか
ったこと
2 新しい溶剤の採用に当たって事前の検討等が行われていなかったこと
3 作業者の健康管理を行っていなかったこと
対策
この災害この災害は、眼鏡の弦(つる)部分の耳当てにシリコーンチューブを挿入する作業に従事していた作業者が有機溶剤中毒になったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 新しい溶剤等を採用するときには、事前に有害性等の検討を行うこと
2 局所排気装置の設置等作業環境の改善を行うこと
3 有機溶剤等を取り扱う作業のマニュアルを作成し、作業者に徹底すること
4 健康診断を必ず実施し、健康管理を行うこと
5 作業者に安全衛生教育を実施すること
6 安全衛生管理体制を整備し、作業の管理を行うこと