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労働災害事例

染毛剤の中間体の製造作業において、肝機能障害が発生

染毛剤の中間体の製造作業において、肝機能障害が発生
業種 医薬品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 危険物、有害物等
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:6人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 保護具を使用していない

No.100210

発生状況

 この災害は、薬品および化学品の中間体を製造している化学工場において、染毛剤の中間体を製造するため反応釜に原料を投入する作業で発生したものである。
 この染毛剤の中間体は、外国から輸入された粉体原料に硫酸、水を加えて加水分解させ、その後冷却して遠心ろ過器に移し、水を加えながら濾過、洗浄を行ってウエットケーキ状の製品として出荷されている。
 この製品は、同じ企業の他の工場で数年前から製造されていたが、製造が間に合わないことから約1か月前からこの工場で3交代制で製造が開始された。
 被災者らの作業は、ビニールシートで覆われた中で反応釜に粉体原料を投入すること等であったが、この作業に約2 週間従事した6名の作業者に、相次いで高熱と尿が黄色くなる症状が発現し、病院で採血検査を行った結果、急性肝炎若しくは肝機能障害と診断され、2日から2か月間の入院となった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 ビニールシート内の換気を十分に行っていなかったこと
2 原料についての有害性の情報収集と検討が不十分であったこと
3 関係作業者に対する安全衛生教育等が不十分であったこと

対策

 この災害は、薬品および化学品の中間体を製造している化学工場において、染毛剤の中間体を製造するため反応釜に原料を投入する作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 新しい化学製品等の製造を行うときには、事前に原料等の危険有害性について十分に調査し、有害性が大きいものについては代替物の採用等の検討を行うこと
2 バッチ方式により製造を行う場合には、有害物の漏洩等についての対策を十分に行うこと
3 安全衛生管理体制を整備し、関係作業者に対して安全衛生教育等を実施すること
4 身体に異常を感じたときの報告を含め健康管理を徹底すること