シリコーン製品の小分け作業中爆発
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 危険物、有害物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100203
発生状況
この災害は、撥水、離型の特性があるシリコーン樹脂を製造している工場で、シリコーンを有機溶剤に溶かした製品の小分け作業中に発生したものである。災害発生当日、被災者A及びBの2名は、工場内の一階で5日前に仕込みが終わり「かす」を沈殿させるためドラム缶に静止保管されていた製品を小分けする作業に従事した。 まず、Aが製品の入ったドラム缶を転倒機にセットし、次いでドラム缶の注ぎ口にドラムコックをねじ込み、その出口のところにポリエステル製のフィルターを取り付けた。
この作業及び小分けするペール缶内の窒素置換が終了した後、Aは、缶転倒機を倒してドラムコックを開けて流量の調節を行いながら「はかり」に載っている18リットルのペール缶に製品を注入した。
注入は、約1分間で終わり、2缶目の注入に取りかかった時、ポリエステル製のフィルター付近から発火し、続いてドラム缶が爆発して付近が火災となった。
このため、被災者A及び約1メートル離れた場所で、注入の終わったペール缶に「かしめ機」で蓋をする作業に従事していたBが、火だるまとなり、Aは全身火傷で翌日に死亡し、Bは火傷で60日の休業となった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 次の2つの条件が重なって引火爆発したものと考えられること。 | |
(1) | ドラム缶からペール缶へ製品を小分けする作業中に、製品に含有されている有機溶剤の蒸気がペール缶周辺に漏洩していた。 | |
(2) | 小分け作業中に静電気が発生していて、それが導電性の服装をしていた被災者等を介して放電した。 | |
2 | 作業開始前点検、安全衛生教育等の安全衛生管理が不十分であったこと。 | |
(1) | 作業開始前ドラム缶転倒機、フィルター等のアース線の接続状態の点検をしていなかった。 | |
(2) | 作業者に対して爆発危険およびその対策などについて十分な安全衛生教育を実施していなかった。 |
対策
この災害は、撥水、離型の特性があるシリコーン樹脂を製造している工場でシリコーンを有機溶剤に溶かした製品の小分け作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 爆発危険のある製品の小分け作業は、密閉された設備の中で行うか、十分な能力を有する局所排気装置を設置して行うこと。
2 機械設備等には、アース線の接続など静電気を除去する措置を行うこと。
3 作業の安全性について事前に十分な評価を行い、作業マニュアル等を作成すること。
4 安全点検、安全教育の実施等の安全衛生管理を徹底すること。