木造住宅の改修工事で2階の壁の塗装中、有機溶剤中毒
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 組合せては危険なものを混ぜる |
No.100200
発生状況
この災害は、個人住宅の改修工事において室内の塗装作業中に発生したものである。塗装の仕事を請け負った会社は、前日までに外壁の塗装の準備として建物全面の窓等の目隠し用ビニールの張り付けを終え、災害発生当日は外壁と2階の塗装を終わらせる予定とし、事業主と2名の作業員が午前9時頃に現場に到着し、午前中は全員で外壁の塗装を行なった。外壁の塗装は、下地剤を塗り、その後に仕上げ塗料を吹き付ける手順で行われるもので、午前中は3名で作業を行い、午後は仕上げ塗装のみであったため、事業主が一人で行い午後4時頃に終了した。
その間、二人の作業員は、2階の塗装準備で塗装面以外に塗料が飛散することを防止する養生紙張りを行った。
午後5時頃からは3名で室内の塗装を開始したが、スプレーガンによる吹きつけは事業主が行い、他の作業員はその補助、「はけ」を使用した窓枠等の塗装を行った。
その後、夕食休憩を挟んで同じ作業が夜通し続けられたが、その詳細は定かではない。翌朝、午前8時頃、この工事現場に来た大工が建物の2階で倒れている3名を発見、直ちに救急車を呼んで病院に移送し、治療したところ、事業主が入院1日、二人の作業員のうち、1名は2か月、もう1名は10日の入院となった。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 長時間にわたって密閉された室内で有機溶剤を多量に使用したこと
2 納期が迫ったこともあり、適切な作業計画を作成せずに無理して作業を行ったこと
3 密閉された場所で有機溶剤を使用する作業であるのに、換気をせず、また、防毒マスク等を使用していなかったこと
4 有機溶剤作業主任者でもある事業主が、有機溶剤防止のための措置等について適切な作業指揮を行っていなかったこと
対策
この災害は、個人住宅の改修工事において室内の塗装作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業場所の環境等に対応した作業計画を策定し、作業を実施すること
2 窓等の開放を行うとともに、強制換気等を行うこと
3 防毒マスク等適切な保護具を使用させること
4 作業主任者はその職務を履行すること
5 容器の開放禁止等有機溶剤等の管理を確実に行うこと
6 安全衛生教育を実施すること
7 元方事業者は適切な指導を行うこと