製鉄所高炉の計測装置のテスト中、炉内のCOガスが漏れ多数が中毒
業種 | 製鉄・製鋼・圧延業 | |||||
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事業場規模 | 1000人以上 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.100195
発生状況
この災害は、製鉄所高炉の炉内の計測装置のテスト中に発生したものである。この製鉄所では、高炉内の装入物分布をマイクロ波で計測する装置を備えていたが、主回路スイッチが現場から離れた電気室にあるため、メンテナンス等の際に不便であることから現場に主回路スイッチを取り付けることにした。
災害発生当日は、高炉の第6床に主回路スイッチ盤の設置及びケーブル配線を行ない、その後、その主回路スイッチのテストを行うことになった。
設置の作業は、製鉄所の職員3人及び下請の作業者を含め9人で行われ、午後2時頃にスイッチ盤の取り付けが終了した。
続いて、午後3時頃からテストに入り、まず電気室で主電源を入れ、現場の主回路スイッチは切り、計測装置の「前進」ボタンを押した。
当然、計測装置は前進しなかったが、炉のガス圧で計測装置は後退を始めた。
そこで、「停止ボタン」を押したので、計測装置は一旦停止したが、次いで計測装置のアンテナの炉内へのパージボタンを押したところ、計測装置がさらに後退したため、炉内ガスの漏洩を止めているボール弁からタイヤシール部を通じて炉内ガスが漏れ、操作盤の近く及び離れてテストを見ていた者多数が炉内ガスを浴び一酸化炭素中毒となった。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 主回路スイッチの設置について計画段階で十分な検討が実施されていなかったこと
2 機械的停止機構があったのに使用していなかったこと
3 テストの作業手順が明確に定められていなかったこと
4 異常事態に備えてエアラインマスク等の保護具を使用させていなかったこと
5 安全衛生教育及び避難訓練等が行われていなかったこと
対策
この災害は、製鉄所高炉の炉内の計測装置のテスト中に発生したものであるが、同種災害防止のためには次の対策の徹底が必要である。1 テスト作業の計画を明確に策定すること
2 テスト作業についても作業マニュアルを定めること
3 改修計画の段階で制御回路の検討を十分に行うこと
4 呼吸用保護具を使用させること
5 安全衛生教育を十分に行うこと