医薬品中間体の乾燥作業中に有機溶剤中毒

業種 | 医薬品製造業 | |||||
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事業場規模 | 16~29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100194
発生状況
この災害は、医薬品製造工場において、溶媒として大量のアセトンを含有する医薬品中間体の乾燥作業で発生したものである。この工場では、自律神経失調症、重症筋無力症等に効能がある薬等を受注生産で行っており、製造に8日間かかるが災害は終了前日に発生した。
製造は、[1]仕込[2]冷却[3]添加[4]反応[5]瀘取[6]乾燥の工程で行われている。
災害発生当日、被災者のAとBは、午後から[5]の工程である瀘取作業を行い、ウェットケーキ状の中間体が入ったドラム2缶を1缶ずつ乾燥室に運び込んだ。
次いで、午後2時頃から3時15分頃までの約75分間、乾燥室内において、Aは中間体をトレイに移す作業、Bはこのトレイを低温乾燥機の棚に入れる作業にそれぞれ従事した。乾燥室内での作業終了後間もなく、A、Bの両名が「頭がふらふらする」等の身体の不調を訴えたため病院で受診させたところ、有機溶剤中毒と診断され、入院治療を受けるに至った。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 乾燥室内に高濃度のアセトンの蒸気が充満していたこと
2 乾燥室の換気が不十分であったこと
3 呼吸用保護具の性能が失われていたこと
4 作業環境の測定を行っていなかったこと5安全衛生管理体制が整備されていなかったこと
対策
この災害は、医薬品製造工場において、溶媒として大量のアセトンを含有する医薬品中間体の乾燥作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 十分な能力を有する換気設備を設置すること
2 作業環境の測定を行うこと
3 十分な性能を有する呼吸用保護具を使用させること
4 使用する溶剤等の有害性の調査を十分に行うこと
5 安全管理体制を整備し、有効な安全衛生活動を実施すること