下水道工事でマンホールに入り酸欠
業種 | その他の土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | ||||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 換気の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100191
発生状況
この災害は、下水道組合から発注された下水道事業幹線管路施設工事を実施している時に発生したものである。被災者Xはマンホールにヒューム管を連結するため、前夜の雨により掘削溝の中に入った土砂をスコップで取り除く作業を行った。ついで、マンホール横の開口部にヒューム管を取付けるための穴を開ける作業を行っていた。マンホール横の開口部は、切り込みが入つており、現場でヒューム管との接続作業時にハンマー等で切り込み部分を叩いて容易に穴を開けることができる構造となっていた。しかし、同時に行われていた道路工事との関係で1月半前に設置した災害発生のマンホールはその当時ヒューム管との接続を行わず一旦工事を終了することになった。従って、このマンホールの中に地下水等が浸透するのを防ぐために、マンホールの開口部切り込みにコーキング剤を充填した。
被災者Xが災害発生当日、カッターナイフでコーキング部分に切り込みを入れ、マンホールの外側からハンマーで叩いたが完全には穴を開けることができなかった。
その後、Xがマンホールの中で倒れていたのを、同僚の被災者Yに発見された。
YはXを救助しようとして、マンホールに入り同じく被災した。
原因
この災害の原因としては、次のような点が考えられる。災害発生のマンホールは、雨水、湧水が滞留しており、かつ、工事の都合で密閉化されていたことから、労働安全衛生法施行令別表第6、3の2号の酸素欠乏危険場所に該当すると考えられる。
災害発生の翌日に災害状態再現で測定を行った結果、マンホール最下部で酸素濃度12・9%であったことから災害発生当時、作業中のマンホールの酸素濃度は18%未満であったことが推定される。
1 マンホール間に立ち入る前に酸素濃度を測定しなかったこと
2 マンホール間を換気し、又は空気呼吸器等を着用しなかったこと
3 酸素欠乏危険作業主任者を選任していなかったこと
4 酸素欠乏危険作業従事者に対して、特別教育を実施していなかったこと
対策
この災害は、下水道組合から発注された下水道事業幹線管路施設工事を実施している時に、マンホール施設作業に関連して発生したものであるが、同種災害対策としては次のような点が考えられる。1 酸素欠乏の危険が予見されるマンホール内で作業する場合は、作業開始前に酸素濃度を測定すること。 2 マンホール内の酸素濃度が18%未満の場合には、換気設備により酸素濃度18%以上とすること。また、作業者に空気呼吸器等を使用させること。 3 酸素欠乏危険作業を行うには、酸素欠乏危険作業主任者を選任し、その者に所定の次の事項を行わせる。 | |
(1)作業に従事する労働者が、酸素欠乏の空気を吸入しないように、作業方法を決定し、労働者を指揮すること。 (2)その日の作業を開始する前に、作業に従事するすべての労働者が作業を行う場所を離れた後再び作業を開始する前及び労働者の身体、換気装置等に異常があったときに、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を測定すること。 (3)測定器具、換気装置、空気呼吸器等その他労働者が酸素欠乏症にかかることを防止するための器具又は設備を点検すること。 (4)空気呼吸器等の使用状況を監視すること。 | |
4 労働者に対し、酸素欠乏症等の防止に関する特別な教育を実施すること。 |