自動車部品の塗装用治具の塗膜剥離洗浄槽の清掃中、有機溶剤中毒
業種 | 自動車・同付属品製造業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不安定な状態にして放置する |
No.100188
発生状況
この災害は、自動車部品製造工場の塗装用治具の剥離洗浄槽の清掃作業中に発生したものである。災害発生当日、被災者は、塗装用治具の剥離洗浄槽の一部を改造する工事に従事した後、いったん塗装ラインに戻り、さらに、昼休み終了後に塗装用治具の剥離場に単独で赴いて水洗槽の清掃作業に従事していたが、午後3時30分頃から槽内に入って塗膜汚泥を取り出す作業を行った。
水洗槽内の塗膜汚泥除去作業は、内容積が約1.66m3の槽の底部まで入り、沈殿物をかき集めて槽外に排出するものであったが、沈殿物を3回排出した午後4時10分頃被災した。発見時、被災者は、水洗槽の底部にしゃがみ込んだ姿勢で倒れていて、意識不明の状態であったが、救急車で病院に運ばれて処置が施され、被災時から約2時間10分後に意識が回復した。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 塗装用治具の剥離場にジクロルメタンの蒸気が充満していたこと
2 剥離場の換気が不十分であったこと
3 規格に適合しない使い捨てタイプのマスクを使用していたこと
4 安全衛生管理体制が整備されていなかったこと
対策
この災害は、自動車部品製造工場の塗装用治具の剥離洗浄槽の清掃作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 塗装用治具の塗膜剥離に有機溶剤を使用しない方式等を採用すること
2 室内の換気設備を整備し、作業環境の測定を行うこと
3 有効な呼吸用保護具を使用させること
4 安全衛生教育等を実施すること
5 安全衛生管理体制の整備を行い、活動の活性化を図ること