建設機械のエンジン性能の試験中に排出された一酸化炭素で中毒
業種 | 一般機械器具製造業 | |||||
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事業場規模 | 1000人以上 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100187
発生状況
この災害は、極寒地への輸出用建設機械エンジンの低温始動性向上試験を行っていたところ、エンジンの内熱式ヒーターが不完全燃焼を起こして試験室内に高濃度の一酸化炭素を排出したものである。災害発生当日、試験員4名と立会人1名がエンジン試験の業務に従事していたが、計測室で監視していた試験員の班長がヒーターの排気温度が異常に上昇するという試験室内のトラブルに気付いて、立会人に試験室内での調整を指示した。
次いで、班長ほか2名の試験員が、試験結果の確認などのためにそれぞれ数分間試験室に入室したところ、入室した4名全員が被災した。
このエンジンの低温試験室は、一酸化炭素(CO)濃度の自動測定装置・警報装置と新鮮空気の供給装置が組み込まれたシステムになっていたが、災害発生時、CO濃度測定器と警報装置は作動可能な状態にあったものの、新鮮空気の供給装置が故障していたため高濃度の一酸化炭素ガスが排出された。
試験室から計測室に戻った時意識を失って床に倒れた立会人は、応急措置を施されたのち緊急入院し、他の3名も急性一酸化炭素中毒のため入院治療を受けるに至った。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 不完全燃焼のガスが試験室内に排出されたこと
2 新鮮空気の供給弁が故障していたこと
3 試験時における安全衛生管理が行われていなかったこと
対策
この災害は、極寒地への輸出用建設機械エンジンの低温始動性向上試験を行っていたところ、エンジンの内熱式ヒーターが不完全燃焼を起こして試験室内に高濃度の一酸化炭素を排出したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 試験に伴う危険有害性について事前に十分な検討を行うこと2 試験設備について再検討と点検整備を行うこと
3 安全衛生管理体制を整備すること
4 非定常作業についても作業マニュアルを作成すること
5 安全衛生教育を実施すること
6 作業環境の測定を行うこと