上水施設内で次亜塩素酸ソーダ等を投入中に塩素ガスで中毒
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の装置、設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 組合せては危険なものを混ぜる |
No.100183
発生状況
この災害は、温泉の上水施設において、次亜塩素酸ソーダ等をタンクへ投入する作業に従事していて急性肺炎等を発症したものである。災害発生当日、被災者は、日勤であったが、同僚と夜勤を交代することにしたため、引き続き勤務していた。
当日の午後8時45分頃通常業務である上水施設の見回りを行っていたところ、攪拌槽のポリ塩化アルミニュウムと次亜塩素酸ソーダの薬液の残量が1割程度になっていたのでその補充をすることにし、最初に次亜塩素酸ソーダの薬液の補充を行い、次いでポリ塩化アルミニュウムの補充を行うためタンクの蓋を開けたところ、強い塩素臭のガスが吹き出し、それを吸い込んでしまった。
そのため、鼻から肺まで強烈な刺激に襲われて激しく咳込み、その後も喉と胸が焼けるような症状が続いたので、病院で検査を受けたところ、薬害による急性肺炎と肝機能の低下と診断された。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 ポリ塩化アルミニュウムのタンクに誤って次亜塩素酸ソーダを投入したため、タンク内で化学反応が生じ塩素が発生したこと
2 ポリ塩化アルミニュウムと次亜塩素酸ソーダが区別ができないような袋に入れられており、また、保管庫においても明確に区分されてはいない等上水施設内の物質管理が行われていなかったこと
3 取り扱う物質の性状、混合した場合の危険性等についての安全衛生教育が実施されていなかったこと
対策
この災害は、温泉の上水施設において、次亜塩素酸ソーダ等をタンクへ投入する作業に従事していて急性肺炎等を発症したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策が必要である。1 誤って投入等を行うことのないよう取り扱い物質の区分・管理を徹底すること
2 有害物質等を取り扱う職員に対して、あらかじめ安全衛生教育を実施すること
3 作業手順に誤りのないように作業マニュアルを策定し、徹底しておくこと
4 作業場所に取り扱い物質の人体に対する影響等の掲示を行うこと
5 作業の引き継ぎを文書で明確に行うとともに、安全衛生管理体制、点検体制を確立し、作業現場において実態を確認すること