トリクロロエチレンを用いて脱脂槽の洗浄作業中、急性有機溶剤中毒
業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100179
発生状況
この災害は、自動車部品の研磨加工、金属表面処理を行っている工場のトリクロロエチレン洗浄槽において発生したものである。災害発生当日、被災者は、所定の就業時間である午前8時より午後5時までは金属表面処理加工作業に従事していた。
さらに、その日は2時間の残業を行うことになり、午後5時から約30分の休憩の後、表面処理加工に先立って行う脱脂作業の工場に一人で行き、次の作業準備のためにトリクレン洗浄槽内の汚れを落とす作業を行っていた。
この洗浄槽内の付着物除去作業は、内容積約830リットルのトリクレン槽の中に入って、トリクロロエチレンを染み込ませたウエスで内壁の付着物を拭き取る方法で行われていた。午後6時45分頃、間もなく残業時間が終了するのに被災者が事務所に戻って来ないことを不審に思った同僚が脱脂工場に行って見たところ、被災者がトリクレン槽内の台座にしゃがみ込んだ姿で倒れていた。
直ちに救出し、病院に移送したが、意識不明のまま翌日死亡した。
原因
この災害は、自動車部品の研磨加工、金属表面処理を行っている工場のトリクロロエチレン洗浄槽において発生したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。1 付着物の除去に使用したトリクロロエチレンの蒸気がトリクレン槽内に充満したこと
2 防毒マスクを使用していなかったこと
3 作業の指示を明確に行っていなかったこと
4 安全衛生管理が不十分であったこと
対策
この災害は、自動車部品の研磨加工、金属表面処理を行っている工場のトリクロロエチレン洗浄槽において発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業環境の把握と改善を行うこと
2 明確な作業の指示と作業の監視を行うこと
3 作業マニュアルを作成し、周知徹底すること
4 安全衛生教育を実施すること
5 有機溶剤作業主任者の職務を履行させること