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労働災害事例

硫化ニッケル触媒の製造工程において原料用硫化水素を吸入

硫化ニッケル触媒の製造工程において原料用硫化水素を吸入
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 場面行動
発生要因(管理) 保護具を使用していない

No.100178

発生状況

 この災害は、硫化ニッケル触媒を製造する硫化工場において、原料用ガスボンベの安全弁から漏洩した硫化水素を吸入し、急性硫化水素中毒となったものである。
 災害発生当日、被災者は、同僚と2人で所定の始業時刻である午前7時40分から硫化ニッケル触媒製造工程の作業に従事していた。午後2時10分に硫化ニッケル触媒製造工程のうち、反応系配管を通して反応塔に硫化水素を送入する工程に入った直後、被災者がいた計器室の隣のガスボンベ室で異常音がしたので駆け付けたところ、被災者はボンベから漏洩していた硫化水素ガスを吸入して倒れた。
 硫化水素の異臭に気づいた他の者が駆けつけ、空気呼吸器を装着して被災者を救出し、救急車で病院に移送し手当を受けさせたが、被災者は硫化水素中毒のため11日後に死亡した。

原因

 この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1 硫化水素ガスのボンベの安全弁が作動してガスが放出されたこと
2 硫化水素中毒の恐れがある室に立ち入るにもかかわらず空気呼吸器等を使用する等の措置がとられなかったこと
3 ガス漏洩時の自動警報装置がなかったこと

対策

 この災害は、硫化ニッケル触媒を製造する硫化工場において、原料用ガスボンベの安全弁から漏洩した硫化水素を吸入し、急性硫化水素中毒となったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 硫化水素ガスのボンベの加温方法を変更すること
2 自動警報装置を設置すること
3 異常事態発生時の対応マニュアルを定めること
4 教育訓練を徹底すること
5 安全衛生管理体制を整備すること