トルエンでドラム缶の内部を洗浄作業中に急性有機溶剤中毒
業種 | その他の化学工業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.100177
発生状況
この災害は、セロハンテープ製造工場において、粘着剤を入れたドラム缶を洗浄する作業で発生したものである。災害発生当日、夜番勤務であった被災者は、班長とともに粘着剤を塗布するコーティングマシーンの監視及び抜取検査等の作業に従事していた。
二人は、交替で30分づつの勤務につくことになっていたが、休憩時間が終わっても帰ってこない被災者を班長が捜しに行ったところ、粘着剤を入れてあった空きドラム缶に頭から入って意識不明の状態であった被災者を発見した。
直ちに病院に収容し、救急処置が施されたが、被災者は蘇生しなかった。
なお、この空きドラム缶は、昼番の班長が既に洗浄を行ったもので、そのことは引き継ぎで申し送りがあった。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 トルエンを使用する調剤場の換気を行っていなかったこと
2 トルエンの蒸気が充満したタンクに上半身を入れて洗浄作業を行ったこと
3 洗浄作業に防毒マスク等を使用していなかったこと
対策
この災害は、セロハンテープ製造工場において、粘着剤を入れたドラム缶を洗浄する作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 ドラム缶の洗浄作業は、工場外の区画された場所で、かつ、局所換気装置等による換気が十分なところで行うこと 2 洗浄作業を次のように改善すること |
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(1)洗浄作業を手作業から機械洗浄に変更する。 なお、手作業の場合は少なくとも掃除用具を使用する。 (2)洗浄剤としてトルエン等の有害性の高いものを使用しない。 (3)洗浄作業のマニュアルを作成し徹底する。 |
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3 トルエン等の有機溶剤の有害性、健康障害防止対策等について教育を実施すること4安全衛生管理体制を整備すること | |
(1)安全衛生推進者、有機溶剤作業主任者として適任者・有資格者を指名し、その職務を確実に励行させる。 (2)安全衛生委員会等を設置し、職場における安全対策、健康障害防止措置について具体的な調査審議を行う。 |