下水道のマンホール内で酸素欠乏症、救助者も酸素欠乏症
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 構成材料の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100174
発生状況
この災害は、下水道築造工事でマンホール内の排水ポンプを引き上げる作業中に発生したものである。発生当日、下水道築造工事で雨水管取替え作業を行っていたが、排水ポンプが1台では間に合わないので1台を増設することになり、工事がほぼ終わった他のマンホール内の排水ポンプを利用することになった。
そのため、作業責任者と1名の作業者が、マンホールの蓋を開け、タラップから中に入って行った。
しばらくして、資材小屋に向かった同僚が、マンホールの中をのぞいたところ、2人が倒れているのを発見し、他の作業者に知らせ、駆け付けた作業者の1名が救助のためマンホールに入り声をかけたが、応答せず、その直後にこの作業者もその場に倒れた。
その後3人は、駆け付けた救急隊員に救出され病院に運ばれたが、最初に入った2名は死亡、救助に入った者は低酸素脳症で入院となった。
なお、死亡した2名は、酸素欠乏症と診断された。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 発注者からボーリング調査結果を渡され、泥炭層であることは承知していたが、元方事業者も下請業者も、酸素欠乏の恐れのある場所として認識していなかったこと
2 マンホールに立ち入る前に、内部の酸素濃度の測定及び換気を実施していなかったこと
3 作業主任者を選任していなかったこと
4 作業者に対して、酸素欠乏危険場所における作業に関する特別教育や救助訓練を行っていなかったこと
対策
この災害は、下水道築造工事でマンホール内の排水ポンプを引き上げる作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業の開始前に、作業場所の地層、酸素欠乏危険の有無等について多くの情報を収集し、適切な安全施施工計画をたてること
2 マンホール等への立ち入り前に必ず酸素濃度等の測定を行うこと
また、必要な場合には、強制換気等を行うこと
3 酸素欠乏危険作業主任者を選任して、その指揮監督のもとで作業を行わせること
4 空気呼吸器、安全帯を備え付けるとともに、教育訓練を通じて適切に使用させること。
また、緊急事態が発生した場合の救出用装備、救出方法等について訓練を行うこと。
5 元方事業者が統括管理を行うこと
元方事業者は、工事に関する各種の情報やデータを収集し、それに基づく作業計画の作成や作業の遂行について下請事業者及びその労働者を管理・指導すること。