地質の確認をするため、立坑内にはしごで降りて酸素欠乏症になる
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他保護具を指定していない | |||||
発生要因(人) | 場面行動 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100173
発生状況
この災害は、下水道管築造工事の到達立坑内の地質を確認するために降りて行った者と救助に入った者が倒れたものである。災害発生当日は、朝から雨が降っていたため、元請の現場代理人は、立坑の掘削作業は中止することを決め、下請の作業者等には到達立坑の覆工板周りの舗装部分の補修作業を行うよう指示した。
その後、現場代理人は、立坑付近の地盤が堅いので推進機械の変更などを発注者と打ち合わせることにしたが、発注側の担当者が到着する前に地質を調査することにし、現場代理人と下請の技術課長は立坑内に入った。
立坑内には、技術課長、現場代理人の順にはしごを使って入ったが、はしごを降りるや否や2人とも折り重なって倒れた。
これを見ていた下請の工事長が、腰にロープを巻いて救助のため立坑の中に入ったが、すぐに倒れてしまい他の者に地上にロープで引き上げられた。
その後、到着したレスキュー隊によって、先に倒れた2人が救出されたが、翌日と3日後に2人とも死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 酸素欠乏危険場所であったのに酸素濃度を測定していなかったこと
2 作業主任者を選任していなかったこと
3 換気をし、又は空気呼吸器等を使用しなかったこと
4 特別教育等の安全衛生教育が実施されていなかったこと
対策
この災害は、下水道管築造工事の到達立坑内の地質を確認するために降りて行った者と救助に入った者が倒れたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 事前に地質調査を行い、適切な作業計画を樹立すること
2 立坑に立ち入る前に酸素濃度等の測定を実施すること
3 換気の実施するとともに、呼吸用保護具を使用すること
4 有害な場所への立入禁止の標示を行うこと
5 安全衛生教育を実施すること
6 安全衛生管理体制を整備すること