大型の攪拌機内部の浸透深傷試験でLPガスが爆発
業種 | 金属製品製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 爆発性の物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 組合せては危険なものを混ぜる |
No.100168
発生状況
この災害は、新しく製作した大型撹拌機の浸透探傷試験中に、現像剤の噴射剤として混入されていたLPガスが爆発したものである。浸透探傷試験は、非破壊試験の一種で、試験品の表層部にある欠陥を毛細管現象によって拡大した像にして現わし、肉眼で観察して探傷する方法である。
浸透探傷試験を行う撹拌機は、直径4115mm、長さ9467mmの円筒型(以下「容器」という)のもので、今回は2基を予定していて1基目は前日から開始し、災害発生当日の午前中に終了した。
午後1時から2基目の浸透探傷試験準備作業に入り、ウエスで試験表面の拭き取り作業→浸透液の塗布作業→(午後5時より30分の休憩)→現像処理作業の手順で作業が進められ、一人が手持ち型照明器具(投光器)を持ち、その他の7人が現像剤としてのスプレー缶(噴射剤としてLPガス、溶剤としてエチルアルコールが混入されている)を各自2本程度持って容器内に入った。
作業は、7人が容器の長手方向に一列に並び、それぞれ分担する作業幅を定めて、現象剤を吹き付けるものである。
午後6時20分頃、突然「ドン」といった鈍い音と共に青白い炎が容器内を走った。
容器内で作業していた8人は、自力で脱出して水道水のある所まで走り、水で火傷部分を冷やした。その後、全員を病院に運び手当を行ったが、5名は熱傷等により休業となった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 容器内の換気が不十分であり、爆発の雰囲気が醸成されたこと
容器には、フランジ等の開口部があり、また、換気扇を稼働させていたものの、極めて換気が悪い状態であった。
2 防爆構造電気機械器具を使用していなかったこと
この会社が実施している浸透探傷試験には、容器等の中でLPガスや有機溶剤を含有する試験剤を使用することから、爆発の恐れがあるのに容器内で使用する電気機械器具等に防爆型のものを使用していなかった。
3 作業指揮等が明確でなかったこと
浸透探傷試験を行う会社は、構内に駐在し、その下請を含めて同様の試験を繰り返し行っていることから、慣れがあり、作業の都度、危険有害性についての検討を行わず、また、作業の指揮も明確に行わないまま作業を行っていた。
対策
この災害は、撹拌機の浸透探傷試験の現像剤の吹き付け作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 使用するガス等の危険性について十分な検討を行うこと。
2 換気扇の能力については十分な検討を行うこと
3 爆発危険場所において、電気機械器具を使用する場合には、防爆構造型のものを使用すること
4 安全衛生教育を徹底すること
5 作業計画を作成のうえ、作業を実施すること
6 構内下請を含めた安全管理体制を確立すること