船から移動式クレーンで木材の荷卸し中、荷崩れ防止用のスタンションが倒れ下敷となる
業種 | 港湾荷役業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 構成材料の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他防護物をなくする |
No.100156
発生状況
この災害は、船の積荷である丸太材を、岸壁から移動式クレーンを使用して荷下ろし作業中に、発生したものである。災害発生当日、ロシア船籍の船で運ばれてきた丸太材の荷下ろしが行われることになり、朝8時から全員参加の朝礼が行われ、各作業の進め方について打ち合わせが行われた後、船内荷役作業主任者からも作業指示が出された。
作業はほぼ予定通りに進んでいたが、午後2時30分頃、岸壁に据え付けられた移動式クレーンの運転士が第3ハッチの丸太を掴むため、グラブバケットを合図者の指示に従い甲板の上方に移動させ、合図者の無線での合図に従ってグラブバケットを閉じようとしたところ、丸太の荷崩れ防止のため設けられているスタンションが倒れ始めたのが見えた。
そこで、運転士は無線に向かって「危ない」と叫んだが、スタンションはそのまま倒れて見えなくなった。
直ちに、運転士は、移動式クレーンを降りて甲板上に上がって行くと合図者は倒れたスタンションの下でうつ伏せに倒れていて既に意識はなかった。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 スタンションは、積荷の材が高く積み上げられている時の材の重みによって生じる側方への力により、スタンションを側方に押し付けることで安定させているが、丸太が少なくなり側方に押す力が減じたため不安定な状態になったこと
2 荷下ろしが進んで舷側から荷が転落しない段階に至ると、荷下ろしを中断してスタンション引き抜くことになっていたにもかかわらず、その手順を省略したこと
3 合図者の誘導位置が適切でなかったこと
対策
この災害は、船の積荷である丸太材を、岸壁から移動式クレーンを使用して荷下ろし作業中に発生したものであるが、同様災害の防止のためには、次のような対策が必要である。1 作業手順を明確にすること
スタンションを途中で抜かずに一気に荷下ろしをするような作業は厳禁し、丸太等の積荷がブルワークの高さよりも下に来るようになった場合にはスタンションを引き抜く作業手順を明確に定め、関係作業者に徹底すること。
2 合図者の位置等について再教育を行うこと
合図者は、安全な離れた位置から作業の状況を見て判断し、移動式クレーン運転士に指示を与えること。
3 安全教育を実施すること
安全作業手順書で「デッキ者はバケットの側で合図を行わない。」と記載しているが具体的に安全教育を行っていないので、作業手順書に基づく教育を実施すること。その際、類似作業における災害事例等を含めて教育をすることも必要である。