下降中に停止した荷物用エレベーターをピット内で調整中、搬器が落下
業種 | 卸売業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | エレベータ、リフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.100153
発生状況
この災害は、商品倉庫のエレベーターが停止した際、その調整作業中に発生したものである。当日、商品の運搬に来た運送会社の運転手は、2階の商品を1階に下ろすため、2階で商品を積んだ台車を搬器に載せ、外扉を閉めて「1F」のボタンを押して、自分は階段で1階に降りて待っていたところ、搬器は1階と2階の間に止まってしまった。
スイッチを何回も押したが下降しなかったため、1階で商品の搬出作業を行っていた倉庫会社の社員である被災者に連絡した。
そこで、被災者が調べたところ、搬器の外側の内扉が損傷していて、この扉が搬器の昇降路の継目部分に引っ掛かっていることが判った。
被災者は、これを外すため、1階の外側の格子の間から手を入れてドアロックを解除して扉を開け、エレベーターピットの中に入り、ピット内において長さ約1mの鉄棒で引っ掛かっている扉を下から突き上げていたところ、扉は外れたが、同時に搬器が降下し、搬器の下敷きになった。
運転手の通報により、レスキュー隊が来て搬器の下の被災者を救出し、病院に搬送したが肋骨骨折による肺の損傷で2時間後に死亡した。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 搬器の内扉のドアロックのスイッチにテープを巻きつけ扉を開けたまま運転できるようにしていたこと、吊りチェーンの緩み検知装置を短絡させ緩みが出ても停止しないようにしていたこと等、安全装置の機能を無効にして使用していたこと。
2 操作ボタンを「1F」に入れたまま電源を切らずに外側のドアロックを外から解除し、外側を開けてピット内に入ったこと
3 定期点検、作業開始前点検を行っていなかったこと
4 エレベーターの運転作業に係る安全衛生教育が実施されていなかったこと
対策
この災害は、商品倉庫のエレベーターが停止した際、その調整作業中に発生したものであるが、同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。1 安全管理者、衛生管理者、安全衛生委員会の設置等安全衛生管理体制を整備し、計画的な活動を行うこと
また、出入り業者を含めた安全に関する協議組織を設置すること
2 出入業者の労働者に使用させる機械設備等の管理及び作業指揮命令系統を明確にすること
3 エレベーターの点検整備体制を確立し、作業開始前点検等によって安全機能等の確保を行うこと
4 基本的な安全衛生教育を実施するとともに、機械設備を取り扱う者に対しては特別の教育を実施すること