養殖場でクレーン船により魚の消毒作業中、ジブが倒壊
業種 | 漁業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 構成材料の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 合図なしに物を動かし又は放す |
No.100150
発生状況
この災害は、作業船に設置されたクレーンを使用して、「いけす」の魚の消毒作業中、クレーンの上部旋回体を支える下部フレームの取付けボルトが破断、ジブが転倒したため、これを避けようとした作業員2名が、「いけす」の鉄パイプ製の枠に顔面等を強打し休業災害を被ったものである。魚の消毒作業は、「いけす」の魚に付着している細菌等を洗い落とすもので、その手順は、クレーン船を「いけす」に横付けし、取り網でクレーン船側に魚寄せ集め、タマ網で真水を注入したシートに魚を投入して洗浄後、再びクレーンで吊り上げ「いけす」に戻すものであった。
災害当日は、「いけす」3台分の消毒作業を終え、4台目の消毒作業に取り掛かり、タマ網を吊り下げたクレーンを旋回させた時、クレーンの上部旋回体を支える下部フレームの取付けボルトが破断し、ジブが「いけす」の枠方向に倒れた。
これを見た作業中の二人が、「いけす」の枠上から海中に飛び込もうとしたときに「いけす」枠に顔面等を打ちつけ負傷した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 クレーンのポスト旋回台、上部旋回体を支える下部フレームの取付けボルト等の点検・整備が実施されていなかったこと
2 クレーンのジブの傾斜角に応じた荷重表、巻き過ぎ防止装置等が取り付けられていなかったこと
対策
この災害は、作業船に設置されたクレーンを使用して、「いけす」の魚の消毒作業中、クレーンの上部旋回体を支える下部フレームの取付けボルトが破断、ジブが転倒したため、これを避けようとした作業員2名が、「いけす」の鉄パイプ製枠に顔面等を強打し、休業災害を被ったものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 クレーンの上部旋回体を支える下部フレームの取付けボルトの状況を含め、年次、月例の定期自主検査及び作業開始前の点検を確実に実施すること。
また、船に装備されたクレーンのボルト等については、塩分による損傷、老化が著しいので、一定期間ごとに交換を行うことが必要である。
2 クレーンの作業時には、ジブ作業半径に立ち入らせないようにするとともに、あらかじめ安全な場所に待避させておくこと。
3 海上における消毒作業、給餌作業は、転落等の危険を伴うので、作業マニュアルを策定し、関係作業者に周知徹底しておくこと。
4 安全管理体制を整備し、具体的な安全活動を行うこと。