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労働災害事例

井戸の清掃作業でガソリンエンジンを使用し一酸化炭素中毒

井戸の清掃作業でガソリンエンジンを使用し一酸化炭素中毒
業種 ゴルフ場
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:5人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) その他保護具を指定していない
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) その他

No.100148

発生状況

 この災害は、ゴルフ場内にある飲料水用の井戸の清掃作業を行っていた際に発生したものである。
 この井戸は、ゴルフ場に勤務する労働者が自分の家で飲料水として、この井戸の水を利用していたところ、油分が混じっていたことから支配人に井戸の清掃を申し出て勤務時間中に清掃を行うことになった。
 災害発生当日、午前8時30分頃から被災者と支配人から作業を命じられた同僚の2名で井戸の清掃の準備等を始め、午後1時頃、作業詰所からエンジンポンプをトラックに積み込んで井戸のところへ持っていき、ロープで井戸の中にある踊り場に降ろした。
 次いで、被災者は、「はしご」を使用して井戸の中に入った。
 午後1時30分頃から、エンジンポンプを始動させて排水作業を始めたが、排水を始めて10〜20分経った頃水の出が悪くなったので、排水用ホースを持っていた同僚が、井戸の中をのぞくと被災者が仰向けに倒れていた。
 そこで、同僚は近くの作業者に連絡するとともに、井戸の中に救助に入ったが気分が悪くなって倒れ、さらに救助に駆けつけた者も次々に倒れた。
 いずれの者も井戸の中からは救出され病院に収容されたが、一酸化炭素中毒で1名が死亡、5名が休業となった。

原因

 この災害は、ゴルフ場内にある飲料水用の井戸の清掃作業を行っていた際に発生したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。
1 自然換気も十分でない井戸の中で、換気等を行わないままガソリンエンジンポンプを使用したこと。
2 被災者を救助する際にエアラインマスク等の呼吸用保護具を着用させていなかったこと。
3 井戸の清掃を了承し、共同作業者の配置まで指示した支配人は、井戸の状況及び作業内容も知らなかったこと。
4 ゴルフ場として組織的な安全衛生管理活動がなされていなかったこと。

対策

 この災害は、ゴルフ場内にある飲料水用の井戸の清掃作業を行っていた際に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1 安全衛生管理体制を整備し、計画的な活動を実施すること
2 井戸の中の状況を事前に確認すること
3 井戸の中で内燃機関を使用しないこと
4 井戸の中の強制換気を行うこと
5 安全衛生教育・救護教育等を実施すること