銅溶錬用転炉のレンガ補修工事で炉内において作業服に着火
業種 | 非鉄金属精練・圧延業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 故障未修理 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不安定な状態にして放置する |
No.100139
発生状況
この災害は、銅鉱石の溶解製錬工場の転炉の改修作業のため、炉内に入ったときに作業服等に着火し複数の被災者が全身火傷を負ったものである。 転炉には、1200℃以上の溶体等が入っていて材料出入口、酸素等送入口、炉床等が溶損するため、4か月に1回の割合で運転を中止し、炉内の耐火レンガの改修工事を行っていた。工事は4日前から開始され、災害発生当日は、製錬工場の製銅係員と体験実習員、施工専門業者A社及びB社の合計25名で作業が行われた。
午前8時過ぎから作業が開始され、まず、当日に改修工事を行う転炉の上方に設置されているフードの点検が行われていたが、他の転炉で羽口パイプの詰まりが発生したので、製錬工場の係員、A社の職長等6名でその取り除き作業を行い、午前8時45分頃にその作業は終了した。
その後、パイプ詰まりの復旧作業を終了した作業者が、当日の改修工事を行う転炉に向かったところ、転炉の内部から「青白い光」と「バチバチという音」がしたので炉内をのぞいたところ、炉内一面が炎で、その中で動いている体験実習員を発見した。
その後、この実習員は、自力で炉内から脱出したが、全身火だるまの状態で、病院に運ばれたが2週間後に死亡した。
また、実習員の脱出後、転炉内の消火をしていたところ、製錬工場の係員とA社の職長が全身焼け焦げて死亡しているのが発見された。
その後の調査で被災者達は炉内で喫煙していたことが判明した。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 酸素配管の弁が閉じられていなかったため、炉内に酸素が漏出していたこと
2 炉内で喫煙をしたため着火源となったこと
3 非定常作業についての安全衛生管理が行われていなかったこと
対策
この災害は、銅鉱石の溶解製錬工場の転炉の改修作業のため、炉内に入ったときに作業服等に着火し全身火傷を負ったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 非定常作業における作業手順を明確に定め、徹底すること
2 安全衛生管理体制を整備し、作業の的確な進行管理を行うこと
3 職場巡視を行い適切な指示を行うこと
4 安全衛生及び緊急事態への対応措置について十分な教育を実施すること
5 機械設備の点検整備を確実に実施すること