木粉で製造する合板の工場で粉じん爆発
業種 | 合板製造業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 建築物、構築物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 場面行動 | |||||
発生要因(管理) | 危険場所に近づく |
No.100137
発生状況
この災害は、粉砕した木材チップを接着剤で圧縮成型して製造する合板の製造工場で粉じん爆発が発生したものである。当日、この工場では、朝から木材チップの粉砕→乾燥→ふるい分け→接着剤の塗布→成型→プレス→養生→研削→切断→検査という通常の工程で合板の製造を行っていたが、午後4時15分頃、乾燥工程であるドライヤーの出口にあるベルトコンベアの下に溜まっているチップがくすぶっているのを作業員が発見し、ドライヤー電気室に居た作業員に知らせるとともに、自分は班長への連絡に走った。
電気室の作業員が、現場に行ってみると火は複数箇所で発生していて、とても手に負えない状況になっていたのでポケベルで異常事態を工場全体に知らせた。
続いて、ベルトコンベアのスイッチを逆転側に切り替え、ドライヤーの燃焼停止ボタンを押したが、その直後からふるい機械・成型機・プレス機械等のところで爆発音とともに火災が発生した。
この火災は、たちまち工程全体に拡がり、さらに鉄骨2階建工場全体に拡がって工場は全焼した。
この爆発火災により、最初に発見しその後消火活動に加わった者と連絡を受けて現場に駆けつけ消火活動に加わった者2名が全身火傷で死亡したほか、他の作業員6名と構内に常駐していた運送会社の運転手3名が休業となる火傷を負った。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 | 最初に木粉を乾燥するドライヤーで着火した可能性が高いが、その原因としては次のことが想定される。 | |
(1) | ドライヤーの熱源としては、合板に使用できない木粉を燃焼させた空気を使用しているが、火の粉を除去する装置が無いため、燃え尽きていない木粉がドライヤーに入り、中の木粉に着火して爆発状態となり、その火炎が外に吹き出て滞積チップに着火したこと。 | |
(2) | ドライヤーの1時間当たりの処理量が、設計値の倍であり、ドライヤーの温度も設定値より高かったため、中で木粉が自然発火したこと。 | |
2 | 大きな火災に発展した原因としては、機械の破壊で周囲の滞積粉じんが舞い上がり、それに着火・爆発して範囲が拡がったこと。 | |
3 | 被災者が多くなった原因としては、火災発生等異常時の対応措置及び退避等についての教育訓練が不十分であったこと。 |
対策
この災害は、粉砕した木粉を接着剤で圧縮成型して製造する合板(パーテクルボード)の製造工場で発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 乾燥方法を改善すること
2 木粉の取扱い管理を十分に行うこと
3 事故時の被害拡大防止の対策を行うこと
4 異常時の対応マニュアル等を作成し、関係者に徹底すること
5 機械設備等の点検整備を実施すること