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労働災害事例

プロパンガス利用の熱風循環炉内で爆発

プロパンガス利用の熱風循環炉内で爆発
業種 自動車・同付属品製造業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 可燃性のガス
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:2人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 老朽、疲労、使用限界
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.100135

発生状況

 この災害は、アルミホイールの粉体樹脂静電気塗装等の工程において、アルミホイールを熱風循環炉で乾かす作業で爆発が発生したものである。
 アルミホイールの洗浄から塗装までの工程は、アルミホイールを前処理装置で洗浄する→洗浄したアルミホイールを熱風循環炉で乾燥させる→乾燥したアルミホイールを塗装ロボットで粉体樹脂静電気塗装を行う→塗装したアルミホイールを再度熱風循環炉で加熱することになっている。
 災害発生当日、午前8時30分より、通常の作業を開始したが、熱風循環炉の出口上部付近から、結露による水漏れがあり、課長と作業員1名が点検の結果、炉上部の結露によると判断し、炉上部の水漏れの拭き取り作業を行った。
 午前9時頃、課長と点検を行った作業員が熱風循環炉の起動スイッチを入れた。
 午前9時50分頃、熱風循環炉で爆発が起こり、その爆風により炉の出口前など近くにいた作業員3名が負傷した。

原因

 この災害の原因としては次のようなことが考えられる。
1 プロパンガスが不完全燃焼の状態にあったこと
(1)熱源のプロパンガスの供給圧力が、設定値の1.25倍になっていたこと。
(2)完全燃焼に必要な空気の70%しか空気が供給されていなかったこと。
2 センサーの機能が不十分であったこと
失火センサー等の安全装置は、失火を検出し燃焼を自動停止させるもので、燃焼不良の場合には機能しないものであった。
3 安全管理体制の不備等があったこと
(1)安全管理責任者が明確でない等安全管理体制が不備であったこと。
(2)作業手順が整備されていなかったこと。
(3)作業者に対する安全衛生教育が不足していたこと。

対策

 この災害は、アルミホイールの粉体樹脂静電気塗装等の工程において、アルミホイールを熱風循環炉で乾かす作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 乾燥炉の正常な運転を維持すること
(1)定常燃焼状態とするように、熱源のプロパンガスの供給減圧弁を調整しておくこと。
(2)吸気口の目づまりの除去等空気供給系統の点検整備を行うこと。
(3)運転中は、常に燃焼状態の監視を行うこと。また、自動的に燃焼運転が停止する機能を設けること。
2 安全管理体制の整備等を行うこと
(1)安全管理責任者の選任など安全管理体制の整備を行うこと。
(2)熱風循環炉の運転管理者や担当者が十分な知識、技能を確保できるよう教育し、権限の付与等を行うこと。
(3)定常運転時及び点検整備時等の作業手順を定めるとともに、関係者に対し教育を実施すること。