貯蔵タンク内に小麦粉を空気圧で送入していたところ粉じん爆発
業種 | その他の食料品製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の危険物、有害物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の置き場所の不適切 | |||||
発生要因(人) | 忘却 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.100134
発生状況
この災害は、小麦粉を貯蔵タンク内に送入していたところ、貯蔵タンク内で小麦粉による粉じん爆発が発生したものである。災害が発生した日、爆発した貯蔵タンク内には小麦粉が貯蔵されており、始業後、この貯蔵タンク内の小麦粉を袋詰めしていた。この袋詰めの作業は、午後3時頃に終わった。
そして、この貯蔵タンクに粒径が200メッシュの小麦粉を送入するため、被災者が午後3時頃に、貯蔵タンク上部にある点検口から工事用ガード付き電灯を貯蔵タンク内部の約5m下の位置まで降ろし、貯蔵タンク内に小麦粉が入っていないことを確認した。そして、被災者は、使用したガード付きの白熱電灯をそのままの状態にして、貯蔵タンクを下りて他の作業を行っていた。
貯蔵タンク内の小麦粉が空であることが確認されてから、約1時間ほど経過した頃に、同僚が貯蔵タンク内へ空気圧による小麦粉の送入を開始した。送入を開始してから30分程度経過した頃、貯蔵タンク付近で異臭がしたので被災者が原因を調べていたところ、貯蔵タンクの上部で爆発が発生し、爆発により発生した熱風によって火傷を負った。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 災害が発生した貯蔵タンクに送入されていた小麦粉の粒径が50ミクロンの大きさであったこと、空気圧送されており、空気との混合により粉じん雲が形成されていたことなど爆発しやすい状況であったこと。
2 貯蔵タンク内をのぞくときに使用した白熱電灯を点灯したまま貯蔵タンク内に放置したため、着火源となったこと。
3 作業マニュアルが十分でなかったため、白熱電灯を使用し、その電灯を点灯したまま貯蔵タンク内に放置する状態が発生したこと。
4 マニュアル類の整備、その遵守状況の確認、不安全行動および不安全状態などの管理体制が不十分であったことにより、不安全状態を引き起こすことの未然の防止が行われなかったこと。
5 粉じん爆発に関する安全教育が十分でなかったこと。
対策
この災害は、小麦粉を貯蔵タンク内に送入していたところ、貯蔵タンク内で小麦粉が爆発したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 貯蔵タンクの耐圧強度の補強または爆発圧を放散するための爆発放散口を設置すること。
2 タンク内には、着火源となるような照明器具を入れたりしないこと。
3 爆発の危険のある濃度に達する恐れのあるタンク内で電気機械器具を使用するときは、その粉じんに対し防爆性能を有する防爆構造電気機械器具を使用すること。
4 工場内の作業者全員に速やかに危険を周知させ、安全に避難が行えるように警報設備を改善すること。
5 作業の安全を確保するための作業手順、作業に必要な用具類の指定などをマニュアル化すること。
6 粉じん爆発に対する作業マニュアルの整備など担当責任者の明確化を行うなど安全管理体制を拡充整備すること。
7 粉じん爆発の危険性およびその防止対策、作業マニュアルの徹底などについて安全教育を実施すること。