爆薬の精製工程において異常反応で爆発
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 爆発性の物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 組合せては危険なものを混ぜる |
No.100131
発生状況
この災害は、火薬工場において爆薬の精製作業中にプラントが爆発し、多数の者が被害を受けたものである。爆薬(TNT)の製造ラインは、硝化反応を行う硝化工程、TNTを結晶化し精製する精製工程に大別されるが、災害は精製工程のうち結晶工程で発生した。
災害発生当日の朝、製造作業を開始してまもなく、結晶工程における炭酸ソーダ槽の配管が詰まりバルブが開かなくなったため、配管を蒸気で過熱後、バルブを開いたところ炭酸ソーダが1リットル程度結晶槽内に溜まった。
この後、硝化機のオイルを結晶槽に取り出し、酸を分離後、昇温してTNTオイルの受け入れを始めたが、TNTオイルの出方が通常より悪かったため、結晶槽のドレンを抜いたところ、小爆発とともに茶褐色の煙が噴き出し、そのうち煙は炎を伴った黒煙に変わり、まもなくプラント全体の爆発が起こった。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 結晶槽内で急激な分解が行われたこと
2 配管の詰まり解消を蒸気加熱で行ったこと
3 異常事態への対応マニュアルが定められていなかったこと
4 安全管理体制が不十分であったこと
対策
この災害は、火薬工場において爆薬の精製作業中にプラントが爆発し、多数の者が被害を受けたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 安全衛生活動の活性化を図ること2 異常反応についての事前調査を十分に行うこと
3 異常事態発生時の対応マニュアルを整備すること
4 作業マニュアルの見直しを行うこと
5 定期自主検査を的確に実施すること
6 関係作業者に対する安全教育を十分に行うこと