タンク内の洗浄において、洗浄剤として使用したベンゼンが爆発
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 1000人以上 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 化学設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不安定な状態にして放置する |
No.100130
発生状況
この災害は、重油タンク内の保温用スチームコイルの洗浄作業後にタンク内に残っていた洗浄用のベンゼンが引火し、爆発したものである。災害発生当日、重油貯蔵用としていたタンクの洗浄作業には、5名が従事し、ミーティングを経て午前9時40分より2名がタンク内に入り、バケツに入ったベンゼンをウエスに含ませ、スチームコイルの洗浄作業を行った。
その後、タンク内作業員の交替等を経て午後2時頃タンク内の作業が終了した。
続いて、タンク内床面に残留したベンゼンをドレンからバケツに抜き出し、これをポンプを使用して空のドラム缶に入れる作業を行っていた。
この作業の途中、ポンプの調子が悪くなったので、ポンプの調整を行おうと作業の段取りをしているとき、突然タンク内で爆発が起こり、タンクの側にいた1名が爆風に巻き込まれ、衣服に火が付き被災した。また、消火を手伝った1名も顔と手に火傷を負った。
原因
この災害は、重油タンク内の保温用スチームコイルの洗浄作業後にタンク内に残っていた洗浄用のベンゼンが引火し、爆発したものである。 タンク内の洗浄に使用したベンゼンは、比重0.8786、融点5.53℃、引火点ー11℃、発火点498℃、蒸気の比重は2.77、爆発範囲1.3%から7.9%で、少量でも火気に注意しなければならない物質であった。この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1 事故後のタンク内の状況では、スチームコイルの上に置かれていたコードリールは真っ黒に燃えて変形し、投光器はすすが付着しているものの破損は無く目立った傷も付いていないことから、タンク内が爆発範囲にあったものと推定される。
2 着火源としては、投光器とコードリールは、いずれも防爆構造のものではなく、コードリールのコンセントの接点が何等かの原因で擦れあるいは抜け、電気スパークが発生した可能性が高い。
対策
この災害は、重油タンク内の保温用スチームコイルの洗浄作業後にタンク内に残っていた洗浄用のベンゼンが引火し、爆発したものであるが、同種災害を防止するためには次の対策が必要である。1 作業の安全について事前検討を行うこと。 | |
[1]危険物であるベンゼン等を使用する作業については、事前に危険性、有害性の検討を十分に行い、それに基づく作業計画を作成して実施することが必要である。 [2]選択した洗浄液の危険性、有害性に対応した保護具の使用等を行うこと。 |
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2 タンク内で危険性、有害性の有る物質を使用して作業を行うときは、換気を十分に行うこと。 3 タンク内で爆発等の危険性のある物質を使用して作業を行うときは、使用する電気機械器具は、防爆構造のものを使用すること。 |