廃水中和処理槽の上部で通路増設の作業中爆発
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 引火性の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100129
発生状況
この災害は、化学工場の廃水中和処理槽の上部にある運転時及び点検時の通路の手直し工事中に使用していた電動グラインダーの火花が着火源となり、廃水中和処理槽内の引火性物質が爆発し作業者等が火傷を負ったものである。この工場は、合成樹脂、合成ゴムの重合開始剤等に使用される有機過酸化物を製造しており、廃水は一旦テントで覆われた廃水中和処理槽に集められ、活性汚泥方式により処理した上で河川へ放流されていた。
災害発生当日は、中和処理槽を稼動させた状態で中和処理槽の上部にある運転時及び点検時の通路の手直し工事が行われることになった。工事を請け負った会社の社長と作業員2名が、午前9時に新しく取り付ける通路2基と取り付け工具等を持って工場に到着し、電動グラインダーの使用許可を得たのち、午前10時30分頃から作業に取りかかった。
最初に、中和処理槽のうち、第一の槽の上に設けられている既設の通路の手すりを取り外すため、社長が電動グラインダーで手すりの脚部の切断を始めて間もなくして、第一の槽付近で爆発が発生し周辺が火災となり、社長ほか2名の作業員と工事立ち会い者が顔面等に火傷を負った。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 廃水中和槽の中に危険物の蒸気が滞留していたこと
2 廃水中和処理槽が爆発危険場所であるとの認識がなかったこと
3 廃水中の浮遊物が分離し付着しやすい槽の構造・機能であったこと
4 火花の落下防止対策をせずに電動グラインダーを使用したこと
対策
この災害は、化学工場の廃水中和処理槽の上部にある運転時及び点検時の通路の手直し工事中に使用していた電動グラインダーの火花が着火源となり、廃水中和処理槽内の引火性物質が爆発し作業者等が火傷を負ったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 工事の発注前に周辺の安全を確認し、必要な対策等の指示を行うこと
2 作業環境の情報を得た上で作業に着手すること
3 安全衛生教育を徹底すること
4 作業マニュアルを作成し、教育訓練を実施すること
5 構内の業者を含めた安全衛生管理体制を整備すること