建設機械の車体カバー等の原料液の貯蔵タンクにおいて異常反応が発生し爆発
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 化学設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.100127
発生状況
この災害は、建設機械の車体カバー等の成形品の原料液を製造している化学工場の貯蔵タンクにおいて異常反応が起こり、タンクが爆発したものである。この工場では、主に塩化ビニール樹脂、リム成形品原料、合成香料等を製造しているが、災害はリム成形品原料であるリム配合液製造プラントで発生した。
災害発生当日、前夜からの夜勤務に当たっていた被災者と部下は、既に4日前に調製が終わり、タンクの温度調整等をオペレーター室で行っていた。
午前2時07分、タンク内の液温が100℃を超えたのでコンピューターでは制御できない旨の警告アラームが鳴り、一旦停止した後再び鳴り始めたので、被災者とともに当直であった部下がタンクの所に行き温度計を確認したところ、100℃を超えていたのでオペレーター室に戻り、二人で温水コントロールバルブを全閉にし、キーボードを操作してタンクジャケットを温水から冷却水に切り替えてみたが事態は直ぐには改善されなかった。
そこで、被災者は部下に「少し様子を見よう」と指示して仮眠に入らせた。
午前3時23分頃、被災者は、配管の液漏れ等がないかの点検のため、プラント内をパトロールしていたところ、貯蔵タンクが突然爆発し、タンクの上部が破裂して攪拌機の台座などが飛び散り、タンク周辺の配管等が黒焦げになった。
たまたま近くをパトロールしていた被災者は、そのため全身火傷、鎖骨骨折等を負った。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 古い触媒液に新しい液を加えたため、貯蔵タンク内で異常反応が生じたこと
2 警告アラームが鳴っているにもかかわらず措置も講じなかったこと
3 100℃を超えるとコンピューター制御ができない等タンクの温度調節システムが不適切であったこと
対策
この災害は、建設機械の車体カバー等の成形品の原料液を製造している化学工場の貯蔵タンクにおいて異常反応が起こりタンクが爆発したものであるが、同種災害の防止のためには、次の対策が必要である。1 使用する設備について安全の面からの事前検討を十分に行うこと
2 確実に作動する緊急遮断装置を設置すること
3 アラーム等温度の制御システム等の見直しを行うこと
4 異常事態の対応等について作業規定を整備すること
5 安全に関する再教育を実施すること