溶湯を入れた取鍋を床上操作式クレーンで移動中、ホイストがレールから外れ溶湯を浴びる
業種 | 鋳物業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 組立、工作の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100118
発生状況
この災害は、鋳型へ溶湯を注入するため、床上操作式クレーンで取瓶を移動中、走行レール固定用溶接部が剥がれていたため、ホイストがレールから落下し、下にいた作業者が溶湯を被ったものである。災害発生当日、被災者は、同僚と二人組で交代しながら約10回程度、溶解炉から溶湯を取り出し、床上操作式クレーンで取瓶を移動し、鋳型に注入する作業を朝から行なっていた。
午後4時10分頃から、溶解炉の溶湯のチェックに来ていた工場の技術員が、鋳込みラインの方向で火の手が上がっているのに気が付きそちらの方向に移って見ると、レール切替え装置であるトラバーサーの下で溶湯を浴びて被災者が「炎」の中で倒れていた。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 レールを切り替えるトラバーサーから、曲線部分のレールに移行する部分でレールを固定していた溶接箇所が破断し、レールが垂れ下がったため、その間隙からホイストの車輪が抜け落ちたこと
2 災害のあった床上操作式クレーンを含め、クレーンの年次点検、月例点検が実施されていなかったこと
対策
この災害は、鋳型へ溶湯を注入するため、床上操作式クレーンで取瓶を移動中、ホイストがレールから落下し、下にいた作業者が溶湯を浴びたものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 走行レールの固定をボルトで行なうこと
2 クレーンの年次、月例、作業開始前点検と整備を行なうこと
3 安全衛生教育を実施すること
4 安全衛生管理体制を整備すること
5 有効な保護衣、保護具等を使用させること