プラスチックフィルム等を熱分解する乾溜炉で爆発
業種 | パルプ・紙製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 炉、窯 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.100116
発生状況
この災害は、プラスチック・フィルム等を熱分解して可燃性のガスを発生させる乾溜炉において爆発が発生したものである。この会社では、プラスチックフィルムが付着する古紙等を原料として撚紐原紙等を製造しており、抄紙機ドライヤーに蒸気を供給する熱源として、各種のプラスチック容器等を燃焼させた時に発生するエタン、メタン等の可燃性ガスを利用した蒸気ボイラーを設置している。
災害発生当日、被災者とA、B、Cは、午前7時頃より乾溜炉でガスを発生させるため、乾溜炉の炉底部にパレット廃材を積み上げ、その上に灯油を浸透させた「紙おむつ」を載せた。午後は、炉の頭頂部の投入口からパレット廃材の上にプラスチック・フィルム等を投入口から投入した後、蓋を閉め、先に投入した「紙おむつ」にライターで着火し、炉内部にそれを投げ入れた瞬間、灰出口から爆発音とともに火炎が吹き出し、被災者Aは約2メートル吹き飛ばされ、また、付近にいた被災者B、Cも火炎で火傷した。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 着火用として「紙おむつ」に染み込ませた灯油が、長時間炉内に放置され、それが隣接の乾溜炉からの冷却水(80℃)で加温され気化していたこと
2 乾溜炉の改造、着火方法の変更等に伴った安全作業手順書等の改定が行われていなかったこと
3 炉の点検基準が無かったこと
4 乾溜炉では、可燃性のガスが発生し、また、燃焼のため灯油を使用しているのにもかかわらず作業者に対し、必要な安全衛生教育・訓練が行なわれていなかったこと
対策
この災害は、プラスチック・フィルム等を熱分解して可燃性のガスを発生させる乾溜炉において発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 着火時の燃焼促進材として灯油を使用しないこと
2 着火方法をバーナー点火等に変更すること
3 炉の制御方式等を根本的に検討すること
4 安全な作業手順等を定めること
5 安全衛生教育を実施すること
6 安全衛生管理体制を整備すること