警報機・遮断機付き踏み切りにおいて、防護柵の塗装作業中に急行列車にはねられた
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 鉄道車両 | |||||
災害の種類(事故の型) | 交通事故(その他) | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | 工事現場内における自動車等乗物全般 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 交通の危険 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.100099
発生状況
この災害は、遮断機の防護柵を塗装する作業中に、遮断機が降り警報機が鳴っている最中に被災者が踏切内に入り、急行列車にはねられたものである。災害発生当日、午前7時30分に事務所に全員が集合し、前日までの編成と同様に、現場責任者と被災者を含む3名編成で作業を行うこととなった。
災害が発生した踏切は、約50mの下り方向に駅があり、軌道がほぼ直線となっていることから、駅に停車中の列車が確認できる位置にあった。また、この踏切には警報機付き遮断機が設置されていたので、列車の監視者を置かずに、現場責任者以下3名全員で踏切に4箇所ある遮断機防護柵の塗装を始めた。
被災者は、割り振られた上り線路側にある防護柵の下塗りから上塗りまでの作業を終え、上塗りを手伝おうとして、下り線路側にある防護柵の塗装作業をしている現場責任者の方に軌道を横切り移動した。この時、上り列車が駅に到着して停車し、踏切の警報機および遮断機が作動した。現場責任者が作業を行っていた柵は、まだ中塗りの白色を塗っている最中であったため上塗りが行えず、被災者は降りた遮断機に沿って南下、踏切を横断している道路の中央分離帯付近で遮断機をくぐって踏切内に入り、下り急行列車にはねられた。
原因
この災害原因としては、次のようなことが考えられる。1 警報機および遮断機が列車の接近に伴い正常に作動した状態の踏切内に、遮断機をくぐって立ち入ったこと。
2 警報機および遮断機の作動が、駅に停車中の上り列車のものと思い込み、この駅を通過する下り急行列車の接近に気付かなかったこと。
3 警報機および遮断機が設けられている踏切であったことから、列車監視者を配置することなく作業が行われていたこと。
4 軌道に近接して行われる作業を行うに当たって、あらかじめ、作業の安全を確保するための作業手順を十分に検討することなく、作業が行われていたこと。
5 軌道に近接して行われる作業の安全確保のための教育が不十分であったこと。
対策
この災害は、警報機・遮断機付き踏切において、遮断機の防護柵を塗装する作業中に、遮断機が降り警報機が鳴っている最中に踏切内に入り、列車にはねられたものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 鉄道事業者と打ち合わせを行い、臨時列車の運行を含めた列車の運行状況の確認、監視人の配置、待避場所の設定など検討した作業計画を作成し、適切な作業手順を定めること。
2 作業場所付近の地形、線路の状況などを考慮して、列車を現認し、作業者等に確実に連絡できる合図の方法を定めて、監視の業務において十分な知識及び経験を有する者を監視人として配置すること。
3 警報または遮断機が作動中の踏切内への立ち入り、および列車接近時の線路内への立ち入りを禁止し、現場監督者および監視人による監視を徹底すること。
4 作業開始前に、作業者および監視人の点呼を行うとともに、作業内容、列車の運行状況、監視人の位置、待避の合図、待避の場所等について確認し、周知徹底すること。
5 作業者、監視人等に対して、接触災害の防止について、教育・訓練を実施すること。