道路舗装工事の作業箇所に、減速した前車を避けようとした保冷車が突っ込み作業員らを跳ね飛ばした
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | 交通事故(道路) | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | 工事現場内における自動車等乗物全般 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 交通の危険 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | スピードの出し過ぎ |
No.100095
発生状況
この災害は、高速道路上り走行車線インターチェンジ手前約240メートルの道路舗装工事の作業現場において、道路走行中の保冷車が、作業箇所に突っ込み、作業員らを跳ね飛ばしたものである。当日午前6時35分頃、鮮魚を搬送中の4.5トン保冷車が、時速50キロメートルの速度規制並びに車線規制が行われていた車線を時速120キロメートルの速度で走行中、前方を走行していた乗用車が速度規制で減速したため、これを避けようとしたが間に合わず、ブレーキをかけながら車線規制中の作業帯に突っ込んだ。このため交通保安要員を含め検測などの作業をしていた作業員ら9名が跳ね飛ばされ、1名が死亡し、8名が重傷を負った。また、トラックの運転手も負傷した。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 加害者の運転する車が速度を出しすぎており、かつ車間距離を十分にとっていなかったこと。
2 加害者の所属する事業場において、運転時間、日報等の管理が十分でないなど、労務管理や安全衛生管理が適切に行われていなかったこと
対策
この災害は、高速道路上において舗装工事及び掘削工事の準備作業のため車線規制が行われていた追い越し車線を、時速約120キロメートルの速度で走行していた4トンの保冷車が車間距離を十分にとっていなかったため、前の車を避けようとして間に合わず、作業箇所に突っ込み、作業員9名を跳ね飛し、うち一名が死亡したものである。高速道路上におけるこのような作業は非常に危険なものであり、作業にの実施にあたっては事前に十分対策を検討したうえで、安全な作業計画を作成し、計画に基づき確実に対策を実施することが重要である。この災害の場合、工事中標識の設置、制限速度の設定、車線規制等が行われていたが、災害の発生を防止することが出来なかったものであり、その原因としては保冷車の運転手が規制に従って減速しなかったことが挙げられる。
このため、速度規制にあたっては、作業箇所手前に標識を設置するとともに、減速を確実に行わせるための別の措置、例えば規制違反者に対する強い警告の実施等が必要であったのではないかと思われる。
なお、運転手が所属する事業場における労働時間、賃金等に関する適切な労務管理の実施、運転手に対しての安全運転に関する継続的な教育等が必要であることは言うまでもない。