化学プラントの定期修理工事で溶断した火花がトルエンガスに引火し火だるまとなる
業種 | 機械器具設置工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 引火性の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 機械器具設置工事 | ||||
災害の種類 | その他の爆発・火災等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | リーダーシップ | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.100091
発生状況
この災害は、化学工場の定期修理工事においてガスを用いた溶断作業中に発生したものである。被災者の所属する会社は、プラントの定期修理に関連して行うこととなったプラント建屋の出入口の拡張工事、外階段の一部付け替え工事を3次下請けとして受注し、外階段踊場の拡幅と新しい階段の第一節の取り付けを行ったが、一次下請けの責任者が検査したところ、階段踊場の床面の寸法に誤りが指摘され、補修が命令された。
災害発生当日、社長は、自分が請け負った部分のプラント内の各作業場所を回って、下請けさせた業者に夫々必要な指示を与えたのち、外階段の踊り場の補修作業の方法を2名の作業員に説明するとともに、作業に必要なガス切断機とアーク溶接機の準備を手伝った。午前9時30分頃から被災者Aがガス切断機を用いて床面用鉄板の切断を開始し、約10cm程切断したときに一緒に作業をしていた被災者Bとともに急に炎に包まれ、被害者Aは20日後に死亡した。
その後の調査により、溶断作業において発生した火花が、周辺に滞留していたトルエンに引火したことが判明した。
原因
この災害は、化学工場の定期修理工事においてガスを用いた溶断作業中に発生したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。1 溶断火花の落下場所に設置されていたアルカリ廃液中和処理槽にトルエン等が滞留していて、PH計を取り外したため穴からガスが噴出したこと
2 作業開始前に周辺の危険性の確認等を行っていなかったこと
3 作業者が前日に採用され、また、作業現場への新規入場者であったこと
対策
この災害は、化学工場の定期修理工事においてガスを用いた溶断作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策が必要である。1 作業開始前に危険有害性の調査を行なうこと
2 作業計画を定め、徹底すること
3 作業指揮者を定めること
4 危険物等の漏洩防止措置を確実に講じること
5 可燃性ガス等の濃度を測定すること
6 安全衛生教育を実施すること