蛍光灯の安定器の取替え作業を、活線作業で行っていたときに感電
業種 | ||||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 電力設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 周縁的動作 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100088
発生状況
この災害は、地下1階売り場で蛍光灯の安定器を活線作業により取り替える作業中に、被災者が感電したものである。この安定器の取替作業は天井裏に上がり、故障した安定器に接続されている分電盤から供給されている電源配線を切断し、安定器と照明器具とを接続している配線を外し、照明器具からビス止めされている安定器を取り外し、次いで、新しい安定器をビス止めにより照明器具に取り付け、安定器と照明器具との配線を接続し、安定器に付いている電源用のリード線を分電盤から240Vで供給されている電源配線に接続するものである。
午後10時過ぎになって、修理の依頼を受けた二次下請けの現場責任者である被災者が、握り部が絶縁覆いされた圧着ペンチ、プラスドライバーなどの工具を装備して、天井裏に上がり、金属製の排気用ダクトに腰掛けて、安定器の取替作業を始めた。しばらくしたところで、照明灯の下で待機していた一次下請けの現場責任者が、「ドスン」という音を天井裏から聞きつけ、天井裏に上がって見たところ、被災者が排気用ダクトに尻を載せて後ろ向きに倒れていた。
なお、「ドスン」という音ともに、照明灯回路の漏電リレーが作動して地下1階の照明灯がすべて消えた。
その後の調査により、被災者の左手指先に火傷の痕跡が認められたことから、活線作業を行っている際に、240vの電圧がかかっている充電部分に左手指先が触れ、腰掛けていた金属製排気ダクトを介して通電され、感電したものと推定される。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 照明用電源開閉器を開路しないで、照明器具に取り付けられた安定器の取替作業を、活線作業で行ったこと
2 電路の電圧に応じた性能を有する絶縁用保護具を着用しないで、活線作業を素手で行っていたこと
3 天井裏は、30度を超える室温となっており、被災者はかなりの発汗を伴い、腰掛けていた金属ダクトととの接触抵抗が著しく低下していたこと
4 作業の安全を確保するための検討を十分に行わなかったこと
対策
この災害は、地下1階売り場で蛍光灯の安定器を活線作業により取り替える作業中に、発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 電気器具の修理作業を行うときには、可能な限り作業停電を実施して行うことが望ましい。
2 充電電路を取り扱う作業は、充電電路の電圧に応じた性能を有する絶縁用保護具の着用および握り部が絶縁覆いされた工具を使用し、接地されている導電体に接触するおそれのあるときには、あらかじめ、絶縁シートにより防護するなどの措置を講じること。
3 扇風機を用い換気するなど作業場所の快適化を図ることにより、発汗をやわらげる工夫を講じ、投光器を用いるなど作業場所に十分な照明を確保すること。
4 あらかじめ、作業計画を作成し、作業停電の可否、活線作業時の安全確保に必要な防護対策を検討し、適切な作業方法を決定すること。
5 感電防護対策などについて基準類を整備し、これら基準類の順守状況のチェックなどの役割分担を明確にし、基準類の周知徹底をはかるための安全教育、安全に対する意識の高揚をはかるための定期的な安全教育を実施すること。