シールド工事の残土搬出用ホッパー上部の改修作業中、携帯用丸のこで右大腿部を切る
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 木材加工用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 切れ、こすれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 分類不能 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 故障未修理 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 工具、用具、材料、くず等を不安全な場所に置く |
No.100084
発生状況
この災害は、シ−ルド工事の地上部分にある土砂搬出設備のホッパ−上方で、泥土飛散防止のための蓋を作る作業中に発生したものである。工事は、第一次の掘進が終了し、第二次の掘進を開始するための準備の段階にあり、この準備作業はシールド内からベルトコンベヤ−で運ばれてきた残土がホッパ−に落下する際に泥土がはねて飛散することを防止するため、上部開口部のベルトコンベヤ−落下口および監視カメラ部分を除き全面に桟木を付けたコンパネを敷き、くぎを打って固定するというものであった。
被災者は、当日の午前中からホッパ−下部の清掃作業を行っていたが、午後2時頃終了したのでホッパ−上部に上がってきたところ、職長から蓋の隙間の部分を塞ぐよう指示された。
午後3時頃、職長とホッパー内にいた作業員がそこから作業用通路に出ようとしたとき、「わっ」という声が聞こえたので、声の方を見ると、被災者が左手で激しく出血している右大腿部を押さえ、右手に回転したままの携帯用丸のこを持ったままベルトコンベヤ−の端に立っていたのが発見された。
直ちに、被災者を救出し病院に移送したが午後4時6分右大腿部動脈切断による出血性ショックで死亡した。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 携帯用丸のこ盤の歯の接触予防装置が故障していたこと
被災者が使用していた携帯用丸のこ盤の接触予防装置を確認したところ、移動する覆いの部分が固定覆いの中に入ったままであった。
2 不安定な場所で切断作業を行ったこと
楕円形のホッパ−開口部をコンパネで蓋をするには、コンパネを切断しながら寸法合わせを行っていく必要があるが、被災者はホッパ−上部にコンパネをのせ、右足はベルトコンベヤ−のVベルトカバ−の上にのせる等不安定な姿勢で作業を行っていた。
3 作業指示等作業管理が徹底していなかったこと
被災者は、前日はホッパ−の蓋の取付け作業を指示されていたが、当日は1次下請の現場代理人には指示されておらず、2次下請の職長が自己判断で指示の変更を行なうなど作業管理が徹底していなかった。
対策
この災害は、シ−ルド工事の地上部分にある土砂搬出設備のホッパ−上方で、泥土飛散防止のための蓋を作る作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 携帯用丸のこ使用に関する安全対策等を確実に行なうこと | |
(1)歯の接触予防装置の機能を作業開始前点検により確認し、異常があれば補修するか、使用を停止する。 (2)携帯用丸のこは、回転させたまま、あるいはスイッチに指をかけたまま持ち運ばない。 (3)携帯用丸のこを使用して切断作業を行う場合には、作業者の安全な足場を確保する。 |
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2 作業管理を十分に行うこと 作業計画の変更を行う場合には、改めて作業の方法、作業手順、安全措置などについて検討し、関係作業者にも徹底する。 3 安全管理体制の整備等を行うこと |
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(1)元方事業者は、統括安全衛生責任者等を選出し、関係請負人の作業の調整を十分に行うことが重要である。 (2)人員配置は、作業員の技量を熟知している事業者が行う。 (3)危険な機械を取り扱う作業等については、作業マニュアルを作成し十分な教育訓練を行う。 |