ダンプカーの荷台下で修理作業中荷台が降下
業種 | 土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 河川土木工事 | ||||
災害の種類 | 工事現場内を除く自動車等乗物全般 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100082
発生状況
この災害は、ダンプカーの運転中に故障したクラッチの修理のため、被災者がダンプカーの荷台下で作業を行っていたところ、荷台が降下し、被災者が荷台を持ち上げるアームと車体の間にはさまれたものである。被災者は、災害発生当日の作業が終了して会社に向かう途中で運転していたダンプカーのクラッチが故障したので、相前後して現場を離れた同僚のダンプ運転者2人に無線で連絡しその応援を得て修理作業を行った。
被災者は、最初にクラッチの空になっているオイルタンクにオイルを補充したがクラッチが作動しなかった。
次いで、同僚の助言でエアー抜きをするため、荷台を上げて車体と荷台の間に入りモンキースパナでクラッチブースターのネジを緩めてエアー抜きを、同僚は運転席でクラッチを10数回踏み空気を押し出そうとしたがクラッチは回復しなかった。
その時、荷台が降下してきて、被災者は荷台を持ちあげるアームと車体の間に挟まれ、約40分後に外傷性循環ショックで死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 被災者は、修理のため荷台を上げる時上方に電線があり、それに接触するのをおそれて荷台を仰角約25度で止めたこと。
2 電線まではまだ距離があったので、同僚が荷台を上げるように言ったので、被災者がレバーを操作したが故障等があって荷台が上がらなかったこと。
3 会社では、安全ブロックが使用できないときには、車載の輪止めを使用するように指導していたのに使用しなかったこと。
4 間接的な原因としては、午後6時を過ぎており、日没後で周囲が暗くなっていたこと、もともと車両の点検整備が不十分であったこと等があげられる。
対策
この災害は、ダンプカーの運転中に故障したクラッチの修理作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 安全支柱等の使用
車両系荷役運搬機械、車両系建設機械のショベル、アーム、荷台等の下で修理・点検等の作業を行う場合には、安全支柱、安全ブロック等を使用すること。
2 緊急時等の連絡体制を整備
緊急事態等発生の場合の会社への連絡及び応援体制を確立し、全員に周知徹底しておくこと。
3 安全管理体制の整備等
点検整備の体制を確立するとともに、交通安全を含めた安全管理体制を整備し活動の活性化を図ること。
また、自動車運転者に対し、点検整備を含めた教育訓練を行うこと。