鉄骨上で、足場の壁つなきを取り付ける作業中、降下してきたエレベーターのカンターウェイトに挟まれた

業種 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 1~4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | エレベータ、リフト | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 工事用エレベータ、建設用リフト | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 動いている機械、装置等に接近し又は触れる |
No.100080
発生状況
この災害は、新築マンション付属の立体駐車場(高さ39m、幅7m、奥行き7m)の建設に際し、駐車場用の自動車収納用エレベーター昇降路内で枠組足場の壁つなぎを取り付ける作業中に発生したものである。災害発生当時、D社は、立体駐車場の外壁を取り付けるため、高さ38mの枠組足場を周囲に組み立てる作業を行っていた。
足場に使用する資材の運搬は、立体駐車場に自動車を収納するために設置されたエレベーターを工事用エレベーター(定格積載荷重2t、定格速度0.2m毎秒)として使用することとなった。
午前11時過ぎ、現場責任者dと作業員eは、最終の資材を運ぶため、工事用エレベーターを使用して、地上に降りた。作業員fと被災者gは、足場の壁つなぎを取り付けることとなった。
足場側でクランプのボルト締めを終えたfが振り返ったとき、鉄骨上で鉄骨斜材に壁つなぎ材を固定する作業を行っているgの頭上にカウンターウェイトが下降してきているのに気付き、搬器を操作しているeに、エレベーターを停止させたが、間に合わず、鉄骨斜材とカウンターウェイトの間(隙間14cm)に挟まれてしまった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 災害に関係したエレベーターは、壁または囲いが設けられていなかったため、容易に昇降路内に立ち入ることができたこと。
2 現場責任者gは、直接作業の指揮を行っていたが、作業方法、作業員の配置などについて具体的な作業指示、作業の安全確保のための事前検討が不十分であったこと。
3 作業の進行状況などの監視が十分でなかったため、搬器の運転と壁つなぎを固定する作業との間の連携が十分に行われなかったこと。
4 足場の設置計画の段階で、資材の運搬、壁つなぎの取り付け場所と取り付け作業の安全確保などの事前検討が不十分であったこと。
5 足場の設置に際して、組立図を作成するなどにより、組み立ての手順、壁つなぎの取り付け作業の安全確保など事前の検討および下請業者に対する技術的指導が十分でなかったこと。
対策
この災害は、新築マンション付属の立体駐車場の建設に際し、建家内エレベーター昇降路内で、足場の壁つなぎを取り付ける作業中に発生し、同種災害の防止のためには、単にエレベーターのみに着目するだけでなく、足場の組み立て作業にも着目し、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 資材の運搬に使用していたエレベーターの昇降路には、壁または囲いを設けるなど、容易に昇降路内に立ち入ることができない措置を講じること。
2 資材を運搬する装置は、作業性の利便だけで選定するのではなく、作業の輻輳状況などの作業の安全確保の観点から種類、能力を選定する必要があること。
3 作業を指揮する者は、指示どおりに作業が安全に行われるように監視すること。
4 足場の組み立ては、壁つなぎを取り付ける作業方法などを含めて、足場の組み立て作業計画を作成すること。
5 統括管理者は、作業の安全確保のために必要な技術的な指導援助を与えること。
6 現場責任者に対し、事例研究など安全に関する具体的な作業方法などの指導能力を高めるために、必要な教育を実施すること。