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この災害は、ゴルフ練習場の新築工事において、ネットの支柱となる鋼管ポールの移動中に発生したものである。
災害発生当日は、ポールの建込み前に3本の塗装作業を行う予定であったが、並べて置いてある鋼管ポールの間隔が狭かったので、移動式クレーン2台を使用して鋼管ポールの水平移動を行うことになった。
鋼管ポールの移動作業は、玉掛け作業者4名と移動式クレーンの運転手2名の合計6名により行われ、初めに、3本のポールのうち端にあった1本のポールを約1.5m移動させ、次いで真ん中にあったポールを同方向に約1m程移動させた。
その直後、このポールが転がって、ポールの間で歯止め取付作業を行っていた2名の労働者のうち1名がポール間に腹部を挟まれ死亡した。
なお、他の1名はとっさに腹這いとなったため無事であった。
また、鋼管ポールは、直径が0.8m、1m、1.2m、1.4m、長さが約15mのものを4個溶接してつなぎ、1本の鋼管ポールにしたものであった。
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この災害の原因としては次のようなことが考えられる。
1 鋼管ポールの転がり防止のための木製の歯止めが枕木のところに設置されていたが、その設置箇所と設置個数が十分でなかったこと
2 枕木の設置方法が適切でなかったこと
3 移動式クレーンの運転について、合図を行う者を指名して作業を行っていなかったこと
4 玉掛け作業を資格を有しない者に行わせていたこと
5 移動式クレーンで下ろしたつり荷が、まだ完全に安定していない状態のときに、その近くで作業を行っていたこと
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この災害は、ゴルフ練習場の新築工事において、ネットの支柱となる鋼管ポールの移動中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1 鋼管ポール等の転がりやすいものを置くときは、歯止めを確実に行うこと。
2 鋼管ポール等の重量物で転がりやすいものを置くときは、水平で堅固な場所を選定すること。
なお、これが不十分な場合には、鉄板、枕木等で水平を保つようにすること。
3 移動式クレーン等を用いて作業を行うときには、一定の合図を定め、合図者を指名して、その者の合図により作業を行うこと。
4 玉掛け作業は、資格を有する者に行わせること。
5 鋼管ポール等の転がりやすいものが置かれている近くでは、作業を行わないこと。
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