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この災害は、作業員がコンクリートポンプ車の撹拌機内部を清掃中に、回転している撹拌棒に巻き込まれたものである。
被災者は、現場におけるコンクリート圧送作業を終了して会社の事務所に戻り、午後2時30分頃、事務所から約30m離れた残土置場で使用したコンクリートポンプ車の撹拌機を1人で清掃していた。
午後3時頃、同僚がコンクリートポンプ車の撹拌機に巻き込まれ死亡している被災者を発見した。
このとき、コンクリートポンプ車のエンジンは稼働しており、撹拌機の作動レバーも入ったままの状態であった。
撹拌機は、コンクリートミキサー車から受けたコンクリートが固まらないように撹拌する装置で、内部には撹拌用の羽根がついた撹拌棒が回転するようになっている。
なお、コンクリートの圧送作業時には、撹拌機の開口部の保護用の金属網を取り付けてあるが、清掃時にはこれを取り外す必要があった。
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この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 清掃作業に当たり、被災者が、事業者に指示された手順により、撹拌機のスイッチを切らず作業を行っていたこと
2 内部の洗浄中に、回転している撹拌棒に近付き過ぎたこと
3 撹拌棒が回転している時に撹拌機の内部に手を入れたこと
が、考えられる。
なお、災害発生後の状況から見ると、撹拌機内部底部に溜まったコンクリートには、手で取り除かれたことを示す痕跡はなかったので、被災者は、撹拌棒を洗浄する時に、回転する撹拌棒に近付き過ぎたものと推定される。
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この災害は、作業員がコンクリートポンプ車の撹拌機内部を清掃中に、回転している撹拌棒に巻き込まれたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1 撹拌機の清掃を行う場合には、撹拌棒の回転を停止させて作業を行うこと。
2 撹拌棒の回転を停止して作業を行うことの手順を明確にし、徹底すること。
3 事業者自身が安全管理について研鑽するとともに、関係作業員に対して、定期または随時に安全教育を徹底すること。
4 撹拌機の本質安全化について検討し、コンクリートポンプ車の構造等を改善すること。
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