くい打機の組立作業中、降下してきたハンマーに頭部を挟まれる
業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 基礎工事用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 木造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | くい打機、くい抜機、ボーリングマシン等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100074
発生状況
この災害は、住宅建築において、基礎用のくい打ち工事のため、くい打機を組み立て作業中に、降下してきたくい打ちハンマーとキャップとの間に頭部を挟まれたものである。このくい打機は、ドラグ・ショベルの作業装置を取り外して、くい打機とアースオーガーの両方の機能を持つように改造したものである。改造作業は、先にアースオーガーを組み立てたあと、くい打機のリーダーの上部と下部をボルトで接続し、ハンマーをフックに取り付け、くいに被せる「ヤットコキャップ」をリーダーに取り付けるという順序で行ない、最後にキャップとハンマーをワイヤロープでつないで完了する。
災害発生当日、二人で組み立て作業が開始され、くい打機の運転手が吊り上げていたリーダーをキャップの位置まで降ろすためにジブを縮めたとき、ハンマーも降下してきて、組み立て作業の補助をしていた被災者が、キャップとハンマーとの間に頭部を挟まれた。被災者は、直ちに病院に移送されたが頭蓋骨骨折等のため死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 くい打機の運転手がリーダーを降ろす作業の途中に、被災者がハンマーとヤットコキャップとの間に頭部を入れていたこと
2 「ヤットコキャップ」のガイド用金具の位置決めが終わり、リーダーを降ろすときに、運転手が被災者の返事を確認しないまま操作したこと
3 「ヤットコキャップ」の取り付けに関する作業手順が明確に定められていなかったこと
4 くい打機の運転者は、車両系建設機械(基礎工事用)の技能講習を終了していなかったこと
対策
この災害は、住宅建築において、基礎用のくい打ち工事のため、くい打機を組み立て作業中、降下してきたくい打ちハンマーとキャップとの間に、頭部を挟まれたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 くい打機の組み立て等に関する作業手順を明確に定め、関係労働者に周知すること
2 くい打機の運転について一定の合図および合図を行なう者を定め、その合図により作業を行うこと
3 作業の指揮者を選任し、その者の直接の指揮により作業を行わせること
4 くい打機の運転は、くい打機の運転資格である車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習を修了した者に行わせること